銀杏健康講座  体脂肪率、肥満

 先日、肥満学会で肥満が高血圧や糖尿病などの合併症を起こし、国民の健康を脅かしているとして、肥満を防ぐ運動に国が積極的にとりくむよう要請する宣言をしました.
 学会がこういう宣言をおこなうことは異例のことで、現代社会のおける肥満が健康のみならず、社会的、経済的な面でも大きな負担と損失を起こしていることが理由と考えられます.

 前にとりあげたBMIが25以上になった場合に、日本人では生活習慣病を起こしやすいとも同時に指摘されました.JavaScriptで・BMIを計算してみましょう.

 今回は、肥満や BMI に関連して、体脂肪率をとりあげます.

肥満とは?...体内の脂肪組織が異常にふえた状態です.
 肥満は標準体重をもとに判定されていましたが、最近は、体重の中身、つまり体脂肪率が基準となってきました.

体脂肪率とは?...体重にしめる脂肪の割合です.
 体脂肪の役割は、保温、外力からの保護、体型を整えるとか、美容上の意味もあります.
 しかし、多すぎると、成人病の大きな原因となります.
 そこで最近は、成人病予防のため、学校検診でも測定されるようになりました.
 体脂肪率の標準範囲は30歳以上の男性で17〜23%.女性は医学的に男性より脂肪が少し多めですから20〜27%となっています.
 男性で25%以上、女性で30%以上を「肥満」と判定します.

体脂肪率からみた肥満解消法...体脂肪率は体重に占める脂肪の割合ですから、ご自分の体重に測った体脂肪率を掛けると、からだの脂肪の量が計算できます.

 ある男性の例をあげます.
 体重80kgで体脂肪率30%だとすると、80×30÷100=24kgが脂肪量となります.
 肥満の方は脂肪を除いた実質部分の体重はそのままにして、余分の脂肪だけ適量減らせばいいことになります.
 この例では、80−24=56kgの実質体重はそのままに、標準の20%の体脂肪にするためには、
 80×20÷100=16kgの脂肪量になるように、
 つまり脂肪を24−16=8kgだけ減量をすればいいことになります.
 体重に置き換えれば、目標80−8=72kgになるよう食事と運動をコントロールすればいいのです.

減量法...ダイエットだけによる方法は脂肪を除いた実質部分の体重をも減らしてしまうことが知られています.
 かならず、運動療法をとりいれることをおすすめします.
 肥満の方は重い体重を脚で支えねばならないので、ジョギングやエアロビクスなどは下半身の関節に負担がかかっても耐えられる場合だけにしてください.
 その点で、体重を支える必要のないスイミングはとてもよいと考えます.
 しかし、運動量が大きいので心臓の負担にならないよう(脈拍数をめやすにします)ご注意ください.
 おすすめは、サイクリングかウオーキングが脚の負担が少なく、運動量も調節しやすいのでいいでしょう.
 ただし、数カ月以上続けるには単調になりやすいので、グループを作ったりコースを変えてみたり、いろいろ工夫することが 楽しみながら長く続けられるコツとなるでしょう.
 当院では、みなさまのご希望があれば、外来で測定いたします.お気軽にお申し出ください.

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