銀杏健康講座  尿酸値をコントロールする
 尿酸値が高いと痛風が起こることはよく知られています.
 このほかにも、高尿酸血症が進行すると高度の腎障害や動脈硬化性疾患を合併することもあります.

その”尿酸”とは?

 人間のからだは約60兆個の細胞でできていて、その細胞が毎日、新陳代謝を繰り返しています.
 さまざまな物質を分解したり、新たに取り込んで入れ代わったりしながら、生命活動をしています.
 尿酸はこの新陳代謝にともなってでる老廃物の一つなのです.
 尿酸ができる前の物質は核酸とATPという物質です.
 核酸は遺伝子情報を担当しており、ATPは筋肉の運動などで重要な働きをします.
 これらはプリンという共通の化学構造をもっているので、総称してプリン体と呼んでいます.
 お菓子のプリンとは違うのです.
 プリン体には、自身の身体の細胞の分解によってできるものと、食品として体外から入るものがあります.
 これらのプリン体が血液で運ばれて肝臓で分解されると、尿酸が合成されます.
 その尿酸は1/3が便として、2/3が尿として体外に排泄される仕組みになっているのです.
 また、尿酸は水に溶けにくく、温度が下がったり、酸性になるとますます溶けにくくなるという性質があります。

尿酸プール

 通常は尿酸の合成と排泄のバランスがとれているので、体内の尿酸量は一定にコントロールされています.
 これを尿酸プールといいます.
 このバランスが崩れて、尿酸の合成が過剰になると尿酸産生過剰型になります.
 腎臓からの排泄が悪くなると尿酸排泄低下型となり、どちらも結局は血液中の尿酸値が高くなるのです.

尿酸値はなぜ高くなるのか?

 家族や親戚に痛風や高尿酸血症の人がいる---遺伝的要因による
 ライフスタイルによる---プリン体を多く含む食品の食べ過ぎ、肥満、高血圧、激しい運動・無酸素運動、多量のアルコール摂取、ストレス

尿酸値が高い状態が続くと

 健康な男性:4.0〜7.0mg/dl、女性:3.5〜5.5mg/dlで女性が低い傾向があります。
 しかし、女性は男性に比べて通風が起こりにくいので、統一基準値として 男女とも7mg/dl 以上を高尿酸血症と診断することになっています。
 8mg/dl 以上の高い状態が長くつづくと痛風になることが多いようです。
 症状:足の親指の付け根が真っ赤になり、激しい痛み.時間的には夜中から明け方にかけて起こりやすい.
 痛風結節、手足の皮下に尿酸塩のこぶができる.大きくはなるが痛みはない.尿酸塩が腎臓にたまると腎機能障害が起こる.尿路結石、尿管・膀胱に石ができる.動脈硬化の一因になる.

尿酸値をコントロールするには

 痛風発作がでている場合:まず、痛みを取り除くことを最優先する.
  禁酒して、安静を保つ.この時期には尿酸値を下げる薬は使いません.
  発作の再発を防ぐ.
 症状がない場合:
  高尿酸値の人は水分を多くとる→尿量を増やす→尿酸の排泄を促す
  アルコールが好きな人→飲酒量をひかえる→ほどほどに日本酒なら1合程度
   ビールはプリン体が多く含まれている
  太り気味の人→体重の自己管理して肥満解消
   この場合、激しい運動は逆効果→ATP が大量に消費→尿酸の合成が促進される→ウオーキング程度の軽い運動
  身体を冷やさない
  血液や、尿が酸性に傾かないようにする
  ストレスの解消をはかる

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