銀杏健康講座:尿路結石

 尿路結石とは尿路に石ができる病気です.尿路とは上部尿路つまり腎臓と尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)、あるいは下部尿路つまり膀胱や尿道をさします.

■石はどうしてできるのでしょう
 汗をすごくかいたり、水分補給がたりなくて脱水症になると、あるいは他の原因で尿の成分が濃くなると、腎臓に結晶を生じ、それが核になって石に成長し、この石が細い尿管に降りてきて詰まるのです.

結石の成分:カルシウムを含むものが多く、全体の80%を占めています.この中でもほとんどはシュウ酸カルシウムを主成分とするものが多いのです.その他、尿がアルカリ性のときにできやすいリン酸カルシウムは混合結石になりやすく、尿路感染を起こしやすい人にできやすいリン酸マグネシウムアンモニウム結石もあります.痛風の人にできやすい尿酸結石や、非常に硬いシスチン結石などもあります.

■症状
 石が腎臓内や腎盂にある場合はサイレントストーンといって、痛みが無い場合があります.しかし、腎盂から尿管への移行部とか尿管の細いところへ詰まると、とうぜん痛みが強くなるわけですが、疝痛発作といって数分おきに痛みが強弱しながらだんだん強くなってきます.それが石のある側の背部から脇腹(側腹部)に起こるのです.

■治療
痛み止め
激痛のときは辛抱できなくなりますから、とにかく主治医または救急医へお世話になって下さい.病状と、尿検査で潜血反応陽性、超音波エコー検査、腹部単純レントゲンなどで診断がつきます.

自然排出を促す
尿が流れていて6〜9mmまでの石なら、多くの場合自然排出されます.そのためには、2〜3ヶ月まで水分を多めにとったり、点滴で補給したり、尿管を広げたり尿管の蠕動運動を活発にさせる薬をつかったりします.石の性質が分かる場合には尿のpHを変える薬を使うと、溶けやすくなることがあります.

その他の治療法
尿路結石があるからといって、すべて結石は取り除かなくてはいけないわけではありません.しかし、結石によって“激痛がつづく”“腎臓にまで影響している” あるいは、“2〜3ヶ月たっても石が出ない”“石が1cm以上の大きさがある”などの場合には次のような方法があります.
 体外衝撃波砕石術
 経皮的腎尿管砕石術
 経尿道的尿管砕石術

■尿路結石の予防法
 尿路結石は再発することが多いといわれています.そのため、定期的に検診を受けたり、日常生活でできる予防を心がけて下さい.

 水分摂取:尿路結石は尿中の成分が結晶化してできますが、尿が濃くならないよう水分を補給して下さい.食後のお茶一杯だけでも余分にとると効果があります.
 また、シュウ酸カルシウムの石が最も多いと説明しましたが、カルシウムは十分にとって下さい.まるで反対のようですが、それは、カルシウムが腸管内でシュウ酸と結合しシュウ酸カルシウムとなって腸より吸収されなくなり(つまり、便として排出される)、尿中へのシュウ酸の排泄を減らしてくれるのです.例えば、ほうれん草のおしたしにはかつお節やおじゃこをふりかけると予防に大変いいですし、また、コーヒー・紅茶もシュウ酸を多く含みますが、ミルクを入れれば同じ理由で予防になります.
 塩分や砂糖は尿中のカルシウム濃度を上げ、結石を作りやすくなります.缶入りの清涼飲料水には砂糖が約10%とリン酸も含んでいます.使うときには量に注意しましょう.

 その他、一般的な注意としては、かたよった食生活や食べ過ぎ、運動不足になったり、ストレスがたまると結石ができやすくなるといわれています.ご用心ください.

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