長者の銀杏    目通り11m 樹高15m/高知県 仁淀村 長者/十王堂県指定天然天然記念物 


  

●霊峰石鎚山を源として、河渓を穿ち小平野を開きながら、嵌入蛇行して土佐湾に注ぐ仁淀川。その支流である長者川が現在
 の長者までさかのぼっている。昭和29年までは流域一帯が長者村と呼ばれていたが、隣の別府村と合併して仁淀村となる。
 大銀杏は川から少し上がった山沿いのお堂にあり、ややズングリとした老大木の幹に、好対照とも思える鮮烈な翠が所狭し
 と湧き広がっている。案内によると、もとは三本立ちで、樹高40mにも及ぶ桁違いの巨樹であったらしいが、文化年間に
 お堂改築費捻出のため、内一本を伐採してしまったという。さらに大正二年の火災で地上9m以上が焼け落ち、その二年後
 の台風で一幹が地上6mから折落した。艱難辛苦に耐えて、現在ではまた樹勢を盛り返してこの大繁茂である。
●欲を言えば災害前の大樹影を直に見てみたかった。