段の谷山 / 巨杉の森に幻の天狗杉を探す!?・・・ 2/2


 姉妹杉

             

    目通りは目測で7m前後。樹高40mで樹齢は370年余り。根元から直ぐに下枝が出ていて、根周りは10m以上

      だろう。印象としては目通り8mクラスの巨樹と同等に見えるが、杉も400年未満でこのくらいの巨樹になるのだ。

      その環境や育ちかたにもよるのだろうが。


 仁王杉

           

      こちらも目通り7m前後で根周りは9m。樹高32mで枝は四方八方、好き放題に伸びきっている。根元が大きく湾

      曲しているため、なかなか柱にはなりそうもないが、ゴツゴツとした厳つい幹がいかにも重厚で、これが生物として

      の杉本来の姿だろうと勝手に納得する。


    さて、上記2本の名の付いた大杉を発見したが、まだ目的の「天狗杉」が見つからない。尾根の頂上近くになって、細い分かれ

   道をかなり入っていったが、上の杉を上回る巨樹はどこにも見あたらなかった。

     

    とうとう、野根山の山頂に着いた。案内には、かつてこの一帯が「千本峠」と呼ばれ、正に何百、何千の大杉が天空に向かっ

   て所狭しとそびえ立っていた、と記してある。それにしても目当ての「天狗杉」はどこにあるのか。

    この森の中のどこかに身を潜めているだろう桁外れの巨漢は、そう易々とお目にはかかれない幻の存在なのかもしれない。

   ただ、そういった山の主を暴かずに、営々と森に鎮まる存在に思いを馳せるのも巨樹憧憬には趣がある。

    そんな多少の負け惜しみを感じつつも、すっかりと自然を堪能して喜びに満たされたまま、再び山を下りていった。

 

 


 次回「巨樹のある風景」は・・・ 美杉と天皇の鎮まる森/越知町横倉山(高知県) の予定です。