横 倉 山 / 美杉と天皇の鎮まる森 ・・・ 2/2
杉原神社の杉
目通り周囲7.3m/樹高48m/枝張り28m 目通り周囲6.4m/樹高51m/枝張り24m
この大きさでこれだけの美杉は、おそらく四国のどこにも無い。樹皮を剥いただけで大寺院の柱にでもなりそ
うな円柱の真っ直ぐな主幹である。自然のままでのこの状態になったのか、あるいは多少の枝打ち等が施されて
いるのか、それにしても息を飲む程の見事な樹影である。
以前安芸市の桃の畝という所の「八坂、聖神社」に杉を見に行ったとき、そこにも目通り6.9mと6.3m
の大きな杉があったのだが、近所の人が「越知町の横倉山の杉はそれは綺麗だった。一度いってみなさい」と
奨めてくれた。その言葉通り、この杉は本当に立派なものだった。
杉原神社を離れ、山頂に向かって歩き出す。横倉山には他に目通り4mの「夫婦杉」や、目通り5mのウラジ
ロガシ。そして牧野富太郎氏の名付けた「ヨコクラノキ」などがある。そしていよいよ安徳天皇陵に着いた。
長い石段の先に、御陵特有の神明鳥居がある。玉垣の中は木々が煩雑に茂り、人が立ち入る気配も無い。
ただこれだけで異空間であるかのような趣が漂ってくるのも不思議なものだ。都から屋島、壇ノ浦と、実祖父
叔父らに追い落とされていった帝の安住の地は、果たしてこの横倉山だったのだろうか。
( 横倉宮 ) ( 空池 )
御陵から更に行くと、安徳天皇を祭神とする横倉宮がある。天皇は23歳の折り、山上の行宮で亡くなられ
鞠ケ奈路に葬られたとある。同年、平知盛が玉室大明神宮として建立したとのこと。
ここからまた山頂をめざし山道を行くと「空池」と呼ばれる山中の窪んだ場所があった。文字通り水の溜ま
った気配はないが、日に翠を溶かした受け皿のような、不思議な雰囲気がする所である。
(住吉宮) (横倉山山頂)
「住吉宮」と呼ばれた場所には今はお宮は無く、森の途切れた断崖から下界の眺望がよく見える。
蛇行したした大桐川が描く谷と稜線が美しい。そして更に山道を歩いて標高744mの横倉山山頂に到達した。
一帯は県立自然公園に指定され、走路も良く整っている。今は「隠れ里」という雰囲気とは、やや離れてきた
が、美杉と伝説が生きている限り、この風景が永く保たれるであろうと思われた。
越知町のホームページ http://www.i-kochi.or.jp/hp/ochi/home.html ■間違いがあり訂正しました。2004.9.1
次回の特集は「巨樹のある風景」に代わって《秋本番/四国の銀杏大特集》の予定です。