スペイン追想


 L.スペイン雑想:おわりにかえて

 スペイン、特にマドリ−・セヴィ−ジャ・バルセロ−ナは危ないところだと聞 いていた。確かにその通りで、今回私は団体旅行でスペインに行ったのだが、そ の中にも犠牲者が出た。最終日のマドリ−でひったくりにあったのである。幸い ケガなどはなかったが、パスポ−トを奪われ一人帰国が遅れることになった。し かし、落ち着いて考えるとこの手の犯罪は社会の健全さを表しているのかもしれ ない。アメリカのように問答無用でピストルの玉を打ち込まれることも、まして や毒ガスを地下鉄に撒かれるような話も聞いていない。ETA(バスク祖国と自 由)のテロは結構頻繁だが、これに対する人々の抗議にこの国の勇気を見ること ができる。私は旅行中、午後6時頃ラジオを聞いていたのだが、そこでは討論番 組がなされ、バスク問題が頻繁に話題になっているようであった。スペイン語が 分からないので内容はさっぱりだったが、討論をする姿勢にこの国にはまだ esperanza (希望)があることを感じることができる。

 恥ずかしい話であるが、ここ2年の体調不良と勉強不足によってスペイン語を かなり忘れてしまった。今回お世話になったバスの運転手さんの一人であるマヌ エルさんと少し話したのだが、後から考えると相当間違った表現をしていたよう に思える。それでも旅行の終わり頃にはスペイン語のカンを少しは取り戻すこと ができた気もする。あとは今後の努力次第だろう。幸運にも今回の旅行の添乗員 をされたJTBの渡辺さんはスペイン語ができたので安心して旅行をすることが できた。今回、うまく旅ができたのも彼女に負うところが大きい。

 本当はもっと旅の具体的エピソ−ドを書かねばならなかったかもしれないのだ が、カメラも持たずに直接スペインと向き合ってきたことに免じて赦していただ きたい。今回の旅行で単に地理的に遠いスペインを旅しただけでなく、時間的に も遠い歴史を旅することができた。それが何よりの収穫である。
 

[←戻る]

[スペインのこと]