正面(修復前) 背面(修復前)
底部(修復前)
驚くべきことに当時のコンデンサーのままこのラジオは鳴っていた。しかし、事故防止を前提に考えると、内部のコンデンサーは全て現在の物と置き換えることとした。点検してみると、改造が行われた形跡もなく極めてオリジナルの状態を保っている。この形を崩すのは非常にもったいない気持ちにさせるが、チョークコイルの断線を修復し、また、コンデンサー類は当時のままなのでこのまま使用するには漏電事故等の危険があり問題であるため、全て現在のものに交換することとした。
修復前のコイル 修復後
コイルはやはりNGであった。当初、巻き直しを考えて上記黒い絶縁体を穿り出していたが、硬く頑固で中々取れない状況であった。仕方なく力ずくでグイグイ出してゆくと中のコイルもボロボロになってしまった。(このコイルをまき直す等、甘い考えだった)市販の30mHのコイルに入れ替えようとしたところギリギリ入らない。「おお!! どうしよう??・・・・・」と言うことで、このコイルのステー両脇を切断してやっと封入することが出来た。
元のペーパーコンデンサーは現在のものと交換した。オリジナルの姿を少しでも残すため、配線材は使える所はこのまま使用し、パーツのみの交換を行った。
オリジナル 外付け電解コンデンサー仮組
新規電解コンデンサー設置状況
当初、元のブロックペーパーコンデンサーに新しい電解コンデンサーを詰め替えようか検討したが、貴重なオリジナルのコンデンサーに手を入れたくなかったので外付けとした。
修復前 修復後
修復前・後を比較してみた。安全を第一に、出来るだけオリジナルを残しつつ修復を行った。配線材の殆どはオリジナルであるため一見あまり手が加えられていないように見えるのだが、角形フィルムコンデンサー等はどう見ても頂けない。他のHPにあるようなASC等を使用してオリジナルカバーを被せたほうがベターのようだ。
動作確認 新しい電源ケーブル及びソケット
いくら程度が良いとは言え、製造されて半世紀以上経った製品である。常用で使用するわけではないが、絶対的信頼性が欲しいので新しい電源ケーブル及びソケットに交換した。また、一通り修復作業が完了したので動作確認を行う。電源投入から1時間・2時間と連続運転させてコンデンサー・抵抗等、発熱/不調なノイズ(例えばボソボソ等)がないか確認する。本機は連続3時間以上受信させた後、異常がないことを確認してケースに収めた。
今回初めて、戦前の並四ラジオを修復するにあたり、古典ラジオ修復の考え方等、貴重なアドバイスをいただいた「アンティークラジオ展示会 」Web Master、 また、修復に必要な修復パーツ等について、「ぼくらの真空管ラジオ」Web Masterから多大なご協力をいただきました。この場をお借りしてお礼申し上げます。