講演

自動車運転と健康管理


はじめに

 皆さん、今日は。本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。わたし、先程自己紹介を致しました、伯方町内で外科系の病院をさせていただいております村上通治と申します。本日は、この講演する機会を頂きましたこと、光栄に思っております。
もとより、わたし外科医ではありまして、交通災害をはじめ、あらゆる災害事故にたづさわっておりますものの、交通事故の健康的な予防法については、一般的な内科的な健康管理と共通するものが多く、平生皆さん、内科の主治医の先生や、かかりつけの先生からお話を聞かれており、重複するところも多々あり、お聞き苦しいところもあるやもしれませんが、いましばらく、ご静聴をお願いします。

 わたしのところの病院の職員駐車場です。世の中すべてモータリゼーションで、車社会は当たり前、いわゆる下駄代わりですから、歩いて3分という方も乗用車で出勤します。都会なら、徒歩出勤とかもしれませんが、この島嶼部では、勤務帰りのお買いものは、数キロ離れたスーパーまでいく必要もありますから、車が必要です。最近ではこのマイカーと言う言葉さえ使わなくなってきています。いかに車が必需品か、普段考えたこともなくても、もう時代はそう言うことになっているのでね。車の色が違うように、運転する方の性、年齢、性格も違うわけですね。

 皆さんこの写真はわかりますか。町の名前をあてて下さい....?正解は信号マチです。信号では先程も言いましたように、いろいろの方がイライラしながら待っています。そこの赤い車の方は高血圧症で病院にかかっている。この白の車を運転している若い男性は、外から見ると何ともないが、足の骨折で整形外科でギプスを巻いて貰い、その帰りでなんです。向こうの車の中年の女性は、更年期でたまに意識がなくなり、救急車で救急病院に運ばれたことがある。この男性は昨日、彼女に振られて、もういつ死んでも良いと、 世の中をはかなんで、あまり前が見えてない。
いわゆる車社会は、車の集まりですが、それを運転するのは人間ですから、人間社会と言えますし、突然な変化が起こりうるわけで、ここではベンツに乗っていようが、セーフティ・バッグをつけていようが、いまいが、そんなことを論じる前の段階の話です。 通常、運転者は車を見て運転していますが、それを運転している相手側の中身・内容が見えないのが車社会の欠点であるといえます。健全な体は健全な精神に宿るといいますが、安全な運転は、健全なドライバーの精神に左右されると思われます。まず精神的なストレスは、肉体的な欠陥がなくても、運転を左右する大きな要素となるのです。

 朝の出勤前の夫婦喧嘩はいけません。会社での上司とのトラブルも事故の元です。 商売がうまくはかどらない。子供が勉強しない。またはお父さんの浮気しているかもしれない。まあ、人間のストレスには、考えられないほどの数がありますが、そのために、ボーとしていて、危ない目に遭われた方は、ここにおいでの方にも、あるのではないでしょうか。
 このストレスが、車の運転ことにおいて、最も気をつける必要があるところなのです。特に日常走ている道路が恐い事もあります。慣れた道路では気が付くと、え〜もうこんなところまで来ていたのかと、我ながらビックリすることが、ままあるのではないかと思われます。
いつもの道、いつもの運転、この慣れが運転に油断を生み、時として大事故に繋がる例は少なくないのです。通勤事故などは原因がそこにあることも十分に考えられるのです。
 以上のことについては、常に交通関係の指導事項でとりあげられ、すでに皆様もご存じかと思 われますので、この件につきましてはこの辺にしておきまして、実際の体の健康面についてお話 しを始めて参ります。


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