食道裂孔ヘルニアの腹腔鏡下手術の実際

 食道裂孔ヘルニアは、食道と胃の境界の部分が胸の方にずれてしまい、胃酸が食道に逆流して食道炎を起こしたり、食べ物が通りにくくなり、吐いたりする病気です。ほとんどの場合は薬で調節できますが、ひどい場合は手術が必要です。以前、この手術はおなかを大きく切っていましたが、現在では3〜10mmの4〜5ヵ所の傷で、おなかの中に細長いカメラや手術器具を入れ手術をすることができるようになっています。小さな傷のため、痛みも少なく回復も早い利点があります。


食道裂孔ヘルニアのレントゲン写真

胃透視1  この病気の食道と胃の写ったレントゲンです。
 写真の真ん中に大きめのくびれが見られます。
 この部分から上が、胸の方にずれてしまった胃の一部です。
 このような状況のため胃酸や食べ物が逆流してしまいます。
→  胃透視2  手術後の食道と胃のレントゲン写真です。
 真ん中のくびれの部分が食道と胃の境界です。
 手術でずれやゆるみがなくなり、症状が消失しました。
(当院食道裂孔ヘルニアの腹腔鏡下手術例) 

実際の手術

傷の位置  左の図の位置4〜5ヵ所に
3〜10mmの小さな傷を作り、
おなかの中に細長いカメラや
手術器具を入れ手術をします。
図1 →   図2   →   図3
 中央に黒っぽく見えるのが、ヘルニアを起こしていた穴(食道裂孔ヘルニア門)です。
 普通はこのような穴はありません。
 黒く見える棒状の器械で食道の周りを焼いてはがしています。  中央に赤みを帯びて見えるのが、周りをはがされた食道です。
図4   →   図5   →   図6
 胃の一部を器械でつまんで、食道の後ろから右側に通しているところです。  食道の後ろから通した胃と反対側にある胃を縫い合わせています。
 これで胃に襟巻きのように食道が巻かれたこととなります。
 これで逆流が起こらなくなります。
 ヘルニアを起こしていた穴(食道裂孔ヘルニア門)を縫って閉じているところです。
 これで食道と胃の境界の部分が胸の方にずれなくなります。
 手術はこれで終了です。

by Iwashiro

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