腹腔鏡下腸管癒着剥離術、小腸切除術

 腸閉塞(イレウス)は、他の手術の後、何年かたって腸がおなかの中で癒着(変にくっついてしまう)し、食べ物が詰まってしまう病気です。腸の中を食べ物が通らなくなりますので、吐いたり、ひどい腹痛が起こり、便も出なくなります。手術をせず点滴で治ることもありますが、なかなか治らなかったり、ひどい場合や、腸が腐ってしまう危険がある場合は手術が必要です。
 今までは、大きなおなかの傷で手術が行われていましたが、数mm〜10mmの非常に小さな傷を3〜4ヵ所あけ、腹腔鏡というカメラを入れ、テレビに映ったおなかの中を見ながら、細長い手術器具を遠隔操作して癒着した腸をはがしたり、小腸を切除したりできるようになってきました。病気の状況でこの手術が難しい場合もありますが、おなかを切る普通の手術に比べて傷が非常に小さくてすむために、傷も目立たたず、痛みもほとんどありませんし、社会復帰も早くできる利点があります。小腸の腫瘍(しこり)も、この手術が可能です。

 下は、当院の虫垂炎(いわゆる盲腸炎)手術の後に腸閉塞を起こした患者さんの例です。

図1                     図2
 腹腔鏡下の手術で癒着(腸がおなかの中でくっついた部分)を、はさみで切ってはがしているところです。腸の単純な癒着が原因の場合はこれだけで治ります。  この患者さんの場合は、腸閉塞を起こした小腸が塊状(かたまり)になっていましたので、右の下腹に5cmの小さな虫垂炎の時に切るほどの傷を作り、かたまりとなっていた小腸をここから出し切除しています。右上と左下腹とおへそに5〜10mmの腹腔鏡下の手術で癒着をはがした傷がありますが、腸の単純な癒着が原因の場合はこれだけの傷となります。

by Iwashiro

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