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親を夢む 細井平洲 |
芳草萋萋として日日新なり 人を動かして帰思春に勝えず 郷関此を去る三千里 昨夢高堂老親に謁す 【細井 平洲】 は江戸時代中期の儒学者で、 尾張の国(愛知県)知多郡、 平州村の生まれ。 米沢藩主 上杉鷹山の師 としても よく知られている。 特に親考心が厚く、又 友情にも富み、美談逸話が多い。 | 通 釈 春の芳しい草が、勢いよく、一日一日、 新たに生い茂る。この春の陽気が 私をして、故郷のこと思い出させ、 家に帰りたい気持ちになるのを 押さえることが出来ず、いてもたっても いられないのだ。 しかし、ここは 故郷からあまりにも遠く 帰るに帰れないのだ。 ところが、昨夜 夢の中で、年老いた ご両親に お会いすることが出来たのである。 両親へ思いが通じたのであろうか... (それは又更に、望郷の情をつのらせたことであろう...) 語 釈 芳草=香りの良い春の草。 萋萋=草の生い茂っている様子。 催の「黄鶴楼」に“芳草萋萋たり鸚鵡洲”と言う句がある。 帰思=故郷へ帰りたい気持ち。 高堂=両親のこと(うやまって使った語) |