趣味の漢詩
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ここでは、良寛さんが、五十余年の生涯を回顧し夜半、
五月雨の音を聞きつつ五合庵の山房において感慨を述べた詩を鑑賞してみます。
半 夜 良 寛(1758〜1831)
首を回らせば五十有余年 人間の是非は一夢の中 山房五月黄梅の雨 半夜蕭蕭として虚窓に灑ぐ
七言絶句 上平一東・三江通韻
【通 釈】 これまで五十余年の生涯を振りかえってみると、人間社会には、是も非も 善も悪も、全て夢のうちのように感じられる。夜中に一人この山房(五合庵)に 坐して、物思いにふけっていると、さみだれが、しとしとと窓に降りそそいでいる。 ■人間は、”にんげん”ではなく、”じんかん”と読みます。 【語 釈】 山房=山の庵、五合庵のこと。 黄梅雨=五月雨、黄梅は梅に実の 黄色に熟するのをいい、黄梅雨とはその頃に降る雨。さみだれ。 蕭蕭=ものさびしいこと。 虚窓=がらんとした部屋。 【鑑 賞】 この詩は、漢詩の厳格な方式にはかなってなく、平仄も合ってないが、良寛は あまり、形式にこだわってない詩が多い。現代版、山頭火といったところだろうか。 しかし、世を捨てた人の心境を詠った詩風は、時世、世代を超え多くの人に共感を 呼びます。 他に、夜雨、草庵雪夜作、等多くの詩がある。 良寛の “うらをみせ おもてをみせて 散るもみじ”は私の好きな句です。 又、貞心尼との相聞歌は感動を覚えます。
目 次
良寛さんについては良寛&貞心尼 のホームページで詳しく紹介されております
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