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十有三春秋
く者は已に水の如し
天地始終無く
人生生死有り
いずくんぞ古人に類して
千載せんざい青史せいしに列するを得ん  
述懐

五言古詩(上平声四紙韻)水・死・史


述  懐じゅつかい     頼 山陽らいさんよう
【語 釈】
★述懐=胸中に抱く感慨を述べること。
(述懐は後の人が編集のときにつけた。
★十有三=十年と三年。13才のこと。
★春秋=「春は耕し、秋は収める」からきて
年月・一年のこと。★逝者=過ぎゆくもの。
歳月のこと。★天地無始終=天地は永遠
である。始めも終わりも無い。
★人生=人間の生命。人の一生。
★安得=なんとかして〜したいという願望。
★類古人=歴史上の偉人のように。類は物
の似ること。古人に類(たぐい)して。古人に
類(のつと)って、とも読める。★千載=千歳 
と同じ。永遠にの意味が込められている。
★青史=歴史。歴史を青史・汗青・殺青汗簡
という。

【通 釈】
十三歳となって、これまでを振りかえってみる
と、月日は川の流れのように過ぎ去ってもう二
度とかえっては来ない。天地は永遠であり、始
めも終わりも無い。しかし、人間には必ず生が
あり、死がある。それならば、なんとかして歴
史上の偉人のように、自分も歴史の上に名を
連ねたいものだ。

【頼山陽】
こちらを参照

【解 説】
頼山陽が十四才の正月を迎え、十三年の歳月を振り返り、
人生の何たるかを考え、自らの大望を詠った詩である。
山陽は十二才の時「立志論」で経世・済民の実学(今日の
政治学・経済学)に従事することを誓っている。この詩は、
その「立志論」に続く「立志詩」である。山陽はこの詩を
江戸に居た父春水へ送った。春水は感心し、友人達に
誇らしげに見せたと言う。友人の赤崎海門が更に柴野栗山
に見せ、昌平黌しょうへいこうの教授で、学界の大立物だった栗山も
大きく評価した。
 この詩は、山陽の名を天下に知らしめるきっかけとなった
のである。
 詩は先ず、過ぎ去った十三年を振り返り、天地と人生を
論じ、最後に自分の抱負を述べている。
【鑑 賞】
この詩は何と言っても、若干十四才の少年が作った
詩であることに、注目しなければならない。詩中にあるよ
うな確たる人生観を持ち、すばらしい表現で詩にまとめる才
能は非凡としか言えない。
このような文人を史上で探すとすれば、菅原道真、橋本左内
であろうか。

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