水を渡り復水を渡り
花を看還花を看る
春風江上の路
覚えず君が家に到る
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【語 釈】
胡隠君=胡は姓。隠君は隠棲している人。
胡家の〜〜の意。
江上=川のほとり。川のことを江という。
【鑑 賞】
何も説明することなく、そのままの情景を思い
浮べながら、高啓がひたっている気分をその
まま、あじわってみたいと思います。気取らず、
高ぶらず、ごく自然に見たまま、感じたままを
詠った、まるで俳句のような詩である。
前半の2句は対句で、同じ表現を繰り返へす
ことで、詩情がいっそう深くあじわいがかもし出
されている。
例=年々歳々花相似たり、歳々年々人
同じからず。 (劉廷芝)
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【高 啓】(1336〜1374)
明代初の詩人。長州(江蘇省呉県)の人。
青邱子としても知れれている。
初明の四傑(楊基・張羽・徐賁)と称せられた。
詩が巧みで、歴史にも精通していた。
元末、群雄のひとりである張士誠が蘇州に都を
かまえると、その重臣・饒介に詩才を認められて、
知遇を受けた。
1369年招かれて官位に就き主に暦志を担当した。
翌年戸部侍郎(大蔵大臣)に抜擢されたが、固辞して
故郷に帰った。その後、親しかった蘇州の知事が、
謀反の疑いを受けたのに連座して、処刑された。
一説には、彼の作った七言絶句、「官女図」で明の太祖の
好色を風刺したので、太祖の怒りにふれたのだという。
39才の若さであった。
明代第一の詩人で小杜甫と呼ばれた。詩風は、
しとやかで美しい詩情と慷慨(こうがい)の意気に
満ちている。著書に『皇太史大全集』『鳬藻集』がある。
【通 釈】
あちらの川を渡り、またこちらの川を渡り
あちらの花を眺め、またこちらの花を見る。
心地よい春風のそよぐ川のほとりの道をゆっくり
歩いているうちに、いつのまにかあなた
(胡隠君)の家にたどりついてしまった。
「非常にわかりやすく、自然体の詩です。」
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