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山中さんちゅう幽人ゆうじんと対酌す       李  白りはく
両人りょうにん対酌たいしゃく山花さんか開く
一杯いっぱい一杯また一杯
我酔うて眠らんと欲すきみしばらく去れ  
明朝有らば琴を抱いて来たれ
山中

七言絶句(上平十灰韻)開・杯・來


【語 釈】
★幽人=隠者。世俗を捨て、
山中で棲む仙人のような人。
(李白自身を指している。)
★対酌=向かい合って酒を酌みかわす。
★山花=山中に咲く花。
★我酔欲眠卿且去=陶淵明伝に
「潜もし先に酔はば、便すなはち(すぐさま)
客にげて、我酔うて眠らんと欲す、
卿去るべしと。其の真率此の如し。」と
あるのに基づく。「卿」は「きみ」と訓じ、
自分と同等以下の者
に用いる。「且」は「しばらく」と読み、
ちょっとの意味。
【通 釈】
山の中で、世を捨てた者同士さし向かいで
酒を飲む。まわりには山の花が満開だ。
一杯一杯また一杯と飲み交わすうち、
酔っ払って眠くなった。私はしばらく
眠るから、君はちょっとあちらへ行って
いてくれないか。あすの朝また来ようと
思ったら、今度は琴を持って来てくれ
ないか。


【李 白】
こちらを参照

【解 説】
山の中で隠者同士酒を飲む情趣をうたった詩。
李白56才、盧山に隠居したときの詩ともいわれ
また、徂徠山で隠者暮らしをしていた頃のもの
ともいわれる。
第一句「両人対酌すれば」また、「両人対酌
して」と読むのもある。
【鑑 賞】
まことに酒の好きな李白ならではの詩だと
思う。この詩はなんといっても「一杯一杯復一杯」
である。近体詩(絶句)の型を破っていながら、
違和感を感じない。むしろそのことが、李白らしく
豪放磊落な、俗世間の枠にとらわれない、雑念
を忘れて自然に解け込んだ幽人の姿を感じる。
酒の好きな私の勝手な理屈かも知れない。

ここに私の好きな短歌を一首掲げたい。

白玉の 歯に沁みとおる秋の夜の
   酒は静かに呑むべかりけり
            若山牧水

山の端に かかる夕月ながむれば
        酒の香りも 恋しかるらん


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