ゲンジボタルの豆知識



このページは、高柳公園のホタル祭りにて配られていた新居浜ホタル保存会の資料を基に作成しました。


成虫の誕生
 ゲンジボタルの発生時期は気温やその他の条件で変わりますが、だいたい5月下旬から6月下旬までです。光り始める時刻は日暮れの時刻により遅くなりますが、6月上旬では午後8時頃から光り始めます。最も 活動するのは午後8時30分〜9時30分頃までの間ですが午前0時前後と午前3時前後にも活動する時間帯があります。メスはオスより4〜5日ほど遅れて発生します。

ホタルの大きさ
 オスは13mm前後ですが、メスは17mm程度と大型です。

ホタルの発光器
 特別な発光装置を持っていて、この光はホタルの呼吸で発生したエネルギーが、光のエネルギーになったものです。ホタルの光が強くなったり弱くなったりすることは、ホタルが呼吸することと関係があります。
 お尻の所に発光器がついています。オスは2節光りますが、メスは1節だけ光ります。

プロポーズ
 オスはメスの弱い光を見つけると、飛びながら近づいていきます。そして一段と明るい光を明滅させます。するとメスも強い光を明滅させてこたえます。そして交尾します。

産卵の数と場所
 交尾を終えたメスは早いものでは2日目あたりから産卵を始めます。産卵数は1匹で500〜700個を4〜5秒おきに産み落とします。場所はおもに川岸の岩や器の根元に生えているコケです。

成虫の寿命
 平均寿命は飼育箱で育てるとオス12日、メス16日ですが野外ではオス5日、メス7日ぐらいといわれています。大切に管理されると20日ほど生きています。自然の中でもクモやカエルなどの敵に襲われて命を落とすものがいますが一番の敵は心もとない人間の乱暴な取り方です。

成虫の餌
 ゲンジボタルは成虫になると何も食べません。草の葉についた夜露をわずかに飲むだけです。

卵のふ化
 産卵直後の卵は真珠の色ですが、黄色に変わり続いてオレンジ色からふ化前には黒くなります。この頃には卵を刺激するたびに青白く光ります。ふ化直前になると幼虫が動いているのが透けて見えます。
 7月中旬の蒸し暑い夜、幼虫は卵の殻を破って誕生します。ふ化した幼虫は水面に近いものは、すぐこぼれるように水面に落ちていきます。  
 産卵後の気温が高いほどふ化が早まるようです。30日から40日目にふ化します。ただし湿度が70%以下になるとふ化率が悪くなるようです。  卵は直径が約0.5mmの楕円形ですが、生まれた幼虫は1.5mmあります。

ホタルの幼虫 
 卵から出た幼虫はすぐ元気に水を探してはい回ります。昼間は水の底で静かにしていて、夜になると餌を求めて活発に動き回ります。
 幼虫は8月以降でないと見えません。この時期が餌の準備や養殖に一番苦労するときです。

ホタルの餌
 ホタルの幼虫の餌はカワニナという巻き貝で、きれいな水の流れにしか住んでいません。一匹の幼虫がさなぎになるまでにカワニナを30匹ぐらい食べているといわれています。
 ホタル保存会では、このカワニナを育てることも大きな仕事の一つです。

幼虫の外敵
 ゲンジボタルは他のホタルに比べて卵を約10倍の500個ほど生みます。
 これはそれだけ親になるまでに危険が多くあることです。自然の川では卵が親になれるのは約0.3%といわれています。他のホタルと違って川の流れの中に住むため、台風などの洪水で流される危険があります。また、幼虫が共食いするともいわれています。
 また、鯉科の淡水魚や水中に住むヒルやゲンゴロウ、または水鳥のアヒルなどにも食べられます。その他、幼虫の成長に害があるものに工場、家庭の排水、薬剤散布、護岸工事などがあります。

水温
 水温は年間を通して15℃から20℃が理想的で25℃以上が長く続くと次第に活動が鈍くなり、ついには死んでしまいます。低温には水が凍らない限り比較的強いようです。

幼虫の上陸
 約10ヶ月間水中で過ごす間に幼虫はカワニナを餌にして1.5mmの大きさから6回の脱皮を繰り返して大きいものは30mmほどの長さまで成長します。春が来て大きく育った幼虫は気温が10〜15℃ぐらいの雨の夜上陸を始めます。月明かりの夜とか風の強い夜は上陸しません。雨水で軟らかくなった土の中へ潜ります。青黄色の光を出しながら自分の気に入った場所を探します。気に入らないときは夜になって又新しい場所を探します。

サナギへの変化
 土に潜った幼虫は自分が動けるだけの部屋を作ります。普通5〜10cmくらい潜りますが50cmも潜るのもいます。上陸して土の中でサナギになり約50日余りで夜空に飛び立ちます。


第4回ホタル祭りでの配布資料より



 ホタル愛好者殿

 環境の悪化等で殆ど絶滅状態であったホタルが再び初夏の夜空に乱舞する日を夢見て市内有志により平成7年に新居浜ホタル保存会を発足させました。
 この間近県の先進地の指導を受けながら市内全域の方々の暖かいご援助のもと会員のねついある研修と努力の結果、市内高柳公園では毎年ホタルの飛翔が見られるようになりましたので、年毎にホタル祭りを開催し本年は第4回眼を迎えることができました。
 幸い努力の甲斐あって毎年ホタルの生息数が増加する見通しとなりましたので今後は高柳公園を自然豊かなホタル公園として整備を進め環境の保全に努めて参ります。
 しかしながら私たちの最終目標は市内全域で環境の改善と保全によりホタルの乱舞を復活することにありますので、今後は市内全域に活動の場を広めて環境が改善されホタルの生息可能と思われるところには調査のうえホタルの幼虫を放流し育てていきたいと思っております。私たちの調査ではすでに市内では、市民の森及び光明寺地区でホタルの飛翔を確認しておりますが、これらの地域は充分ホタルの生息可能な環境にあると思われます。
 今後は地元の方々と協力し会員の総力で環境保全に勤め更に増殖すべく毎年幼虫の放流を続けて参りたいと思っております。
 今後は市内全域の多くの方々よりホタルに関する情報と要望をいただき、新居浜市内全域のホタル保存会として活動を広げたいと思いますので皆様方の今まで以上のご協力とご援助を賜りますよう会員一同心よりお願い申しあげます。