1時間でできるエイズの授業(中学年向き)
TOSS愛媛 戸井 和彦
エイズの授業では、次の2点を押さえるべきである。
(1)エイズに関する知識 @エイズとは、どのような病気であるか。 Aエイズはどのようにして感染するのか。 (2)エイズ患者・感染者との共生 |
エイズの授業に関する私の考えは、こちらを参照にしていただきたい。(かたくなまでに変らぬエイズ教育)
ここでは、4年生を対象に1時間で行った授業を紹介する。
健康なときに、「病気のもと」は、どうなっているでしょう。次の3つの中から、選びなさい。 @空気中にも、体の中にもいない。 A空気中にはいるが、体の中にはいない。 B空気中にも、体の中にもいる。 |
ここでいう「病気のもと」とは、ばい菌のことである。1つずつ挙手をさせていった。
@1人A27人B8人 であった。
正解はBであることを告げる。その後、免疫の仕組みについて次の話をする。
ここで画鋲(ばい菌に例える)をたくさんいれたふた付のパックを用意して説明すると、わかりやすい。
「病気のもと」は、健康な人の体の中にもたくさんいます。ただ、これはふたをしている入れ物に入っているような感じになっていて、暴れれないような仕組みになっているのです。 |
では、このふたがとれるとどうなるでしょうか。 |
・中にはいっているばい菌が暴れ出す。
・ばい菌が暴れ出して、いろいろな病気にかかりやすくなる。
病気を防ぐ働きが弱くなり、いろいろな病気にかかりやすくなりますね。これは、大変なことですね。 このような仕組みで起こる病気をなんというか知っていますか。 |
エイズである。意外と「エイズ」の名前は出にくい。
エイズにかかったら、どうなると思いますか。 |
・熱が出てすぐに死んでしまう。
・一度かかると、二度と治らない。
・呼吸困難になり、苦しんでしんでしまう。
多くの子どもたちは、「エイズ=死につながる怖い病気」と思い込んでいるのが、実態である。
「みんながいちばん心配しているのは、エイズはどうやってうつるかということですね。」と言った後、次の発問をする。
人間の体からは、どんなものがでていますか。 |
自由に言わせる。
涙、だ液、おしっこ、うんこ、汗、血、鼻水、たん、空気(はく息)、ふけなど次々と出されるはずである。
このうち、エイズの患者からエイズのウィルスが混ざって出てくるのはどれでしょう。 |
1つずつ言って、挙手させていく。最後に正解を言う。
正解は「血液」と「精液」である。しかし、4年生の段階では「精液」の扱いは、実態に学校の性教育の実情に応じて判断するとよい。
もし取り上げない場合は、「主に血液です。あとひとつありますが、ここに出されているものではほとんどうつりません。」と言う。
いろいろなケースでうつるかうつらないかはクイズで考えさせてもよい。)
エイズウィルスは大変弱い性質をもったウィルスです。 暑さに弱く、水にも弱く、空気にも弱いのです。 |
エイズにかかっている子は、学校でどんなことができるでしょう。 |
自由に言わせる。普通のこと同じような生活ができることを最後に言っておく。
エイズにかかっている子が同じクラスに転校してきました。あなたなら、どうしますか。次の2つのうちから、近いほうを選び、その理由を書きなさい。 @なるべく近寄らないようにする。 Aいっしょに遊んだりして、友達になる。 |
私のクラスでは、@が27人Aが7人、よく分からないが2人であった。
@の理由としては、「やっぱり、こわい」「もし、自分にうつったらからかわれる」などがあった。
Aの理由としては、「普通の人とあまりかわらないから」「同じ人間だから」「自分もエイズにかかったときのことを考える」などが出された。
この段階で討論をさせてみるとよい。自分がその立場だったらどう行動するかを考え、討論しあうことが共生のライフスキルを身に付けていくことになる。
授業を終えて、感想を書かせた。それを紹介する。
・エイズのついていろいろなことが分かってよかった。これで、もしエイズの人が転校してきてもなかよくできる。
・エイズはどんな病気かがよくわかった。そして、エイズになっている人を差別するのはいけないと思った。
・エイズはどうやってうつるかが分かった。でも、エイズの人がいたら、仲良くできるかどうかは不安である。