親戚の人からお酒をすすめられたらどうする?

 戸井 和彦

用意するもの   ワークプリント
           資料(未成年者が酒を飲むと)、未成年者飲酒禁止法、他

          

5年生対象の授業である。

 授業が始まってすぐに、たずねてみた。
 「今までにお酒を飲んだことがある人。」ほとんどの子が手を挙げた。「だって、お父さんが飲めと言うんだもの。」などと平気で言っている子がいた。予想通りの答えが返ってきた。

お酒を飲みすぎると、どういった影響がでるでしょうか。

・やめられなくなる。 依存症になる。  ・性格が変わる。 ・命を落とす。 ・太る。 ・頭痛、めまいがする。
・アル中〔アルコール中毒)になる。 ・酔っぱらって、何をしているのか分からなくなる。
子どもたちは、お酒が体や精神面に与える影響についてかなり、知っていた。

お酒が薬物やたばことちがうところは、どんなところでしょう。

・毒性が弱い  ・体に入りやすい  ・飲みやすい  ・回りの人に害がない
・やめられるときがある  ・よっぱらう

 ここで、保健室から借りてきていた写真ニュースから「アルコール中毒の人と健康な人の肝臓と脳の写真を比較したもの」を見せた。
 その違いに子どもたちはびっくりしていた。
 「お酒は20歳からと言われ、未成年者(20歳以下の人)の飲酒は法律で禁止されています。」といって、未成年者飲酒禁止法(大正11年)を配った。

なぜ、未成年者の飲酒は、厳しく禁止されているのでしょうか。

 この発問は5年生には難しかった。
・大人よりも酔い安い。
・頭が悪くなる。
・身長が伸びなくなる。
・病気になりやすい。
・成長がストップする。
 こういった意見が出されただけであった。
 そこで、次のように説明をした。
「子どもは大人に比べて、アルコール分を分解する能力が不十分で、アルコールの毒性を受けやすいのです。1年間に飲み会から救急車で帰った人は、15477人もいるそうです。」(こういったポスターもある)

 お酒をすすめられるのは、家族(特に父親)や親戚の人が多いことを話した。
 また、日本はアメリカやヨーロッパの国に比べて、マスコミなどの影響を受けやすいことを資料などで示した。
 最後に、次のような場を設定して、ディベートを行った。

親戚の人が集まって食事をしているときに、お酒を飲むようにすすめられました。
自分で立場を決めてディベートをしてみましょう。

 1班6人の子どもたちを2人ずつ、3つのグループに分けた。
 「飲んではいけない」2人、「飲んでもいい」2人、「審判」2人である。
 チーム分けはじゃんけんでさせた。
 子どもたちが考えた理由は次のようなものであった。

●「飲んではいけない」派
・身長が伸びない
・20歳からと決まっているから
・思考力が衰える。
・未成年だから
・酔っぱらったら何をするか分からないし、止めときます。病気になって入院したりすると、もともこもないじゃないですか。死んだりしたらど うするのですか。
●「飲んでもいい」派
・親戚のつきあいもあるし・・・
・その場の雰囲気もあるし・・・
・少しじゃ、害もないよ。
・一気飲みはしないから。
・付き合いっているものがある。

 かなり、リアルな話し合いがなされた。
 「飲んでもいい」派の理由をみてみると、日常生活ではこのようにして、「飲酒」しているのだろうなあと思った。