季節の草花
(夏)

ヤブマオ (藪苧麻、藪真麻)8月撮影

クサマオ(カラムシ)に似いて、やぶ地に生えていることからヤブマオの名前がつきました。よく似ている仲間にオニヤブマオ、ナガバヤブマオがあります。オニヤブマオに比べると葉の先に近いほど葉のふちの切れ込みが大きいのが特徴ですが、ナガバヤブマオとの区別はむずかしくなります
オオバコ (大葉子) 8月撮影

水田のあぜなど人の踏みつけの多い場所によく生育しています。漢名で車前草というのはそのためです。オオバコの名前は幅の広い葉に由来しています。オオバコの葉や種子(車前子という)はセキ止めの薬です。種子はぬれると粘着力をもち、人や動物の足について広く運ばれます。じょうぶな花茎を交差して引っ張り合い、「すもうをとる」と言って遊びます。もちろん切れた人が負けです。 子供の頃は(じいさんばあさん)と呼んでいたように思います。
クズ (葛) 8月撮影

山野、堤防、林の縁など、どこにでも見られる大きなつる性の植物です。つるは10m以上にも伸びて他の樹木類におおいかぶさります。秋の七草のひとつです。その昔、奈良は吉野郡国栖(くず)の商人が、この粉を売り歩いたことが名前の由来です。根からとれるデンプンを葛粉(くずこ)と言います。 油断をすると畑中に広がり厄介な植物です。
アキノエノコログサ(秋の狗尾草 あきのえのころぐさ)8月撮影

都会付近ではエノコログサよりも多く見るようです。草全体エノコログサに似にていますが、草丈が大きく50cm〜1mになります。穂は大きくて、わん曲しているのが特徴です。 エノコログサの穂はわん曲せず、ほとんどが直立しているので区別の目印になります
オオアレチノギク (大荒地野菊)8月撮影

南アメリカ生まれと言われています。日本には大正年間に渡来しました。名前は大形のアレチノギクの意味です。荒れ地、空き地に、ヒメムカシヨモギとともに、もっともよく見られる雑草です。市街地を中心に大変広がっています。茎の上部に枝がたくさん出て、穂が全体に円すい状になります。
ヘクソカズラ (屁糞蔓)8月撮影

つる性の植物です。ヘクソカズラの名前は屁(へ)糞(くそ)蔓(かずら)で草全体に悪臭があるためにつけられた名前です。黄色い球形の実ができます。それをつぶして嗅げば忘れることはないでしょう。また、花の中央がお灸のあとに似ているのでヤイトバナと呼んで、お灸遊びにしました。果実がヒビの薬になる民間薬です。
ヒルガオ(昼顔)8月撮影

夏の日中に花を咲かせているので、アサガオに対してヒルガオと言います。花はうすいピンク色でアサガオよりひとまわり小形です。アサガオのように種をつくらず、地下の茎でふえていきます。葉は細くアサガオの葉とは違っています。植え込みの樹木などにからみついて伸びていきます。野原や道端に普通に見られる野草です。  
メヒシバ (雌日芝)8月撮影

オヒシバとともに夏の雑草としてやっかいなものです。メヒシバの名前はオヒシバよりも柔らかく細い茎と穂によるものです。茎の下部が、横にはいながら節ごとに根を下ろして繁殖するので、ときに大きな株になります。畑地や樹園地、公園での強害草です。世界中に分布しているそうです。
ツユクサ (露草)8月撮影

夏の早朝、朝露にぬれながらきれいな青い花を咲かせるのでツユクサ(露草)という名前がつきました。貝殻のような形の2枚の苞(ほう)の中にいくつかのつぼみができてひとつずつ伸びて花が開きます。花の形は花びらが3枚で、2枚は大きく円形ですが、1枚は小さく独特な形になっています。青い花の汁は、昔から布地に下絵を描くのに使われてきました
スベリヒユ  8月撮影

夏の代表的雑草で、肉厚の葉や茎にはつやがあります。花は小さく5弁で黄色です。名前の由来は、すべすべした葉だからであるとか、ゆでて食べるとぬるぬるするからであるとか言われています。食用としては若葉をゆでて水にさらしておひたし、あえ物、汁の実などにします。食べすぎるとおなかをこわすこともあります
ノブドウ (野葡萄) 8月撮影

ノブドウの名前は野に生えるブドウの意味です。山野のいたるところに見られます。果実は、はじめ淡緑白色ですが、熟すと青紫色に変わります。有毒なので食べられません。仲間のヤマブドウは、山地に生える種類で食用になり、ブドウ酒の色づけに使われています。                  
カタバミ (片喰・酸漿) 8月撮影

どこにでも普通に見られる野草です。3枚のハート形の葉が特徴です。この葉は就眠運動と言う夜は閉じる運動をします。その閉じた葉の一片が欠けて見えるので、ついた名前であるとか、葉の片側が欠けて見えるので、片側が食べられた(はまれた)草、カタバミであるなどの説があります。カタバミの仲間は酸を含むので、かむとすっぱい味がします。
エノコログサ(狗尾草) 8月撮影
野原や空き地、道端のどこにでも見られる夏から秋にかけての雑草です。エノコログサの「狗(エノコ)」は子犬のことで、「ロ」は「尾(お)」のなまったものです。別の名前のネコジャラシはよく知られた名前だと思います。エノコログサはほとんどの穂がまっすぐに立っているのが特徴です。
オシロイバナ (白粉花) 8月撮影

早朝6時に撮影。夕方は花が満開になります。
熱帯アメリカ原産の帰化植物、多年草です。花の色はピンク、紅紫色、黄色、白色の他に絞りなどもあります。なお、花びらのように見えているのは萼で、萼に見えるのは苞です。花は夕方から開きよい香がします。英名は「common four o'clock」で夕方に咲くことを意味しています。果実の中に白い粉質の胚乳を含むのでこれを白粉に見立てて名前がつけられました。古く江戸時代にはすでに観賞用として渡来しています。
マルバルコウソウ (丸葉縷紅草) 8月撮影


熱帯アメリカ生まれの帰化植物です。江戸時代の終わりに観賞用として日本に入りました。現在では栽培はほとんどされませんが、野生化したものが草地などに見られます。ルコウソウの葉は細かく羽状に切れ込んでいますが、本種はヒルガオのような丸葉なのでマルバルコウソウと言います。マルバルコウとも言います。   
コウゾリナ (髪剃菜)8月撮影

川の堤防などに黄色い花をよく見ます。花は午後には閉じてしまいます。コウゾリナの名前は葉や茎にかたい毛があり、ひげを剃った後のようにザラザラしていることが由来ですが、剃刀菜がなまって、コウゾリナになったとも言われています。食用になることから菜の字がついています
子供の頃祖母が(うまごやし)と呼んでいたのを思い出します。
ワラビの葉 (蕨)8月撮影

春の山菜として若芽を食用にすることで知られたおなじみの野草です。山菜の王者と言われてもいます。夏緑性のシダです。成長した葉は長さが1−2メートルにもなります。
チガヤ (茅萱・千萱)8月撮影

どこにでも見られる野草です。晩春に白い毛の花穂がでます。一面に白穂が風にそよぐ風情はなかなか美しいものです。チガヤは茅萱、千萱などと書かれます。たくさんに集まって生えるので千の文字を当て、チガヤとつけられたという説があります。つぼみの穂は甘く、これをツバナと言います。地下茎は茅根と呼ばれ、消炎、止血などの薬用効能があります。昔はすいかの敷物に利用しました。夏花のない時期に大きな壷に生けて楽しんでいます。
サフランモドキ (サフラン擬)8月撮影

本来は1800年代中頃に観賞用に持ち込まれた西インド、メキシコがもとになる帰化植物なのですが、今では広く野生化しています。 わが国に渡来した当時は間違って「サフラン」と呼ばれていましたが、本物のサフランと区別するために後にサフランモドキと改名されたものです。
ホソアオゲイトウ(細青鶏頭)8月撮影

南アメリカ生まれの大形の植物です。高さが1〜2bにもなります。日本へは明治時代に入りました。荒地や堤防に群生しているのを見かけます。
イヌビユ 8月撮影

夏の畑地によく発生する害草です。イヌビユの名前は食用に栽培されたヒユに対しての役立たないヒユの意味です。しかし、若葉は食せます。ホナガイヌビユとよく似ています。葉の先が丸みを帯びて少し切れ込んでいるのがイヌビユです。ホナガイヌビユは葉の先がとがっています。
ヤブミョウガ (藪茗荷)8月撮影

やぶ地に生え、葉や茎がミョウガに似ているのでこの名前がつきました。しかし、ミョウガとは仲間が違い、ミョウガはショウガ科、ヤブミョウガはツユクサ科です。食用にはなりません。白い花が咲いた後の果実は熟すと光沢のある青藍色になり、晩秋や冬のやぶ地では枯れ草の中で目を引きます。  


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