Q&A

私も疑問に思っていたことで、人に聞いたり、文献を読んだりして解明した疑問があります。同じ疑問を持っている人も多いと思いますので、Q&A形式で記載します。

Q: PL法の関係で、レミントン社のスラグ弾はレミントン製の銃身しか 使えないことになっているとのことですが、フェデラルの弾頭はどうなのでしょうか?
A:

Q&A
購入したバーンズ弾頭

Q&A
フェデラル弾頭

Q&A
レミントン弾頭

あくまでもリロードは自己責任です。基本的な考えは一緒なのでこの背景を説明します。

元々レミントンでは2年ほど前まではスラッグ(サボット)実包を市販していましたが事故が相次ぎ販売中止となりました。

その事故とは、実包販売の際にチョーク付き銃で発射しないようにとの、説明をつけて販売したらしいですが銃砲店の末端まで周知が行き届いていなかった、及び何らかの理由でそのことを知らないお客さんが、チョーク付き銃でレミントンのサボット弾頭を発射してしまい、銃身を破損する事故が相次ぎました。そのため国内では販売中止となり、レミントン社のスラグ弾はレミントン製の銃身しか 使えないと言うただし書きに改まったのだと聞いています。

左の写真を見ても判る通りレミントン、フェデラルとも全く構造は一緒で、ワッヅは硬質のプラスチックです。なおかつ羽が銃身のなかで外向きに開いているため、替えチョークの場合、引っかかり易い構造になっています。レミントンでもフェデラルでも左のようなサボット弾頭をチョーク付き銃で撃つと必ず銃を破損します。
(チョーク部の段差に弾頭を抱えた硬質プラが高速で衝突する為です)

ですのでレミントンもフェデラルも銅弾サボットはチョーク無しの平筒でしか使えません。平筒のままだと回転しないので真っ直ぐに飛びませんけど(当たらない)・・・・そこで1/2ライフリング銃の登場です。

絶対にチョーク付き銃で左のような弾頭は発射しないでください。
間違い無く銃身(チョーク)を破損します。


Q: 度量単位一覧表
銃に関係する単位の変換表です
cm(センチメートル) in(インチ) ft(フィート) yd(ヤード)

長さ

1 0.3937 0.0328 0.0109
2.54 1 0.08333 0.02778
30.4794 12 1 0.33333
91.4383 36.0 3 1

 

 

市販装弾の性能はyd単位で記述されています。
g(グラム) gr(グレイン) oz(オンス) lb(ポンド)
重さ 1 15.432 0.035273 0.002204
0.0648 1 0.002286 0.000143
28.35 437.5 1 0.0625
453.592 70000 16 1

 

 

火薬を扱うときは通常、グレイン単位で扱います。
m/sec ft/sec
速度 1 3.28
0.3048 1

 

 

音速は340m/sですので1115.2ft/secを超えると弾速は音速を超えている事になります。
kg・m ft・lib
エネルギー 1 7.23
0.138 1

 

 

弾頭エネルギーで1000ft・libと言う値は138kg・mに換算できます。このエネルギーは138kgの重さのものを1m持ち上げると言うエネルギー量です。
通常スラッグ弾はマズルで3000ft・lib近く有りますのでなんと414kgのものを1m持ち上げる力が弾頭に有ることになります。

必見です!!
Q: スラッグ弾の飛行について
A:

 

 

いろいろなケースが有ります。先ず、大まかに分けて、スラッグの弾頭は、弾頭自身の重心と、風圧中心(前方からの空気抵抗の作用する中心)の位置のずれを利用して、進行方向に弾頭先端を常に向けるもの(風見鳥の原理)と、与えられた回転によって、コマの原理で同一方向を保ち続けるものの2つのタイプが有ります。前者は、フォスターやブリネッキタイプ、後者はサボータイプが、その代表です。
 そして、前者のタイプの場合は、弾頭が変形すると、重心や風圧の中心がバラバラに偏心してしまい、弾道が反れてしまうために、これを防ぐ目的で、極力弾頭が変形し難い様に設計されたタイプと、変形はし易いが、風圧の中心と重心の距離を出来る限り大きく取ると同時に、弾頭外胴に有効な高さの羽を設けて、それにより、飛行中に弾頭を僅かに回転させる事で、弓矢の原理を使って真っ直ぐ飛ばすタイプに分けられます。前者は、フォスタータイプ・後者はブリネッキタイプが、その代表になります。

 こうした原理の違いから、各タイプの弾頭では、その飛行は全く異なり、その結果、それらの精度を向上する方法も異なって来ます。以下、それぞれを分けて書きますと、

1、サボータイプの場合
 このタイプは、発射の時点で回転している事を前提にしていますから、当然にして、ライフリング付きの銃身によって、発射時に強制的に回転させなければ、全くお話になりません。このタイプを無回転で発射すれば、必ずブーメラン状の横回転をしながら飛行する事になるので、精度など全く期待しようも有りません。
 しかし、日本では散弾銃の銃身には、全長の1/2までのライフリングしか認められていない為に、現在3タイプの銃身が発売されています。このうち、ライフルドチョーク付きの銃身は、チョークに付いているライフリングが、銃腔内で既に音速を大きく越えているプラスチック外皮の弾頭と接触する事になるので、ライフリングは単にプラスチックを削る役目しかせず、とても所期の回転は得られません。銃口側に1/2のライフリングを残したタイプも同様です。唯一、薬室側にライフリングの有るタイプでは、初速0の状態から徐々に回転を加速すると共に、散弾銃の場合には、銃身の1/2地点では既に加速を終えているので、回転数も充分に与えられており、これに続く滑腔部分では、プラスチック外套と銃腔の摩擦が少ない為に、既に与えられた回転は止まること無く、弾頭は充分に回転したまま、銃口を離れられます。つまり、サボー装弾には、薬室側に1/2ライフリングを切った銃身が、日本では唯一精度を出せる銃身と言えます。

2、フォスタータイプの場合
 このタイプは、銃腔内での弾頭の変形を押さえる事が、精度を上げる最良の方法です。具体的には、薬室から銃腔に入る部分のテーパーになっている部分の角度を、標準よりも長く加工し直して、ロングフォーシングコーンにすると、精度はかなり改善し、更に、使用する弾頭の外径にピッタリ合せた内径を持つ銃身を特注するか、逆に鋳型を特注して、手持ちの銃身の内径にピッタリ有った外径の弾頭を自作して、ハンドロードする事によって、その精度は劇的に向上します。特注鋳型の場合は、更に有効な高さの風切り羽を施す事で、ワンホールショットも可能になります。しかしながら、既製の銃身や既製の弾頭では、コーンはギタギタだったり、弾頭はユルユルガタガタだったりして、このタイプは通常は余り当りません。唯一ミロクのMSSー20にアポロの既製装弾を使用した場合だけは、上記の条件にかなり近くなるので、納得の出来る精度を出しやすい様です。

3、ブリネッキタイプの場合
 このタイプはネジ止めされたフェルトの送りを凧のしっぽの原理で積極的に使用して、風圧の中心を弾頭の重心の極めて後方に送る事で、高い姿勢制御能力を得ています。しかし、フェルトは偏った変形をし易い為に、そのままだと弾頭は斜めに飛んで行く事になります。この悪影響を防ぐ為に、ブリネッキタイプでは、弾頭表面の乱流境界層よりも背の高い(高さ1mm以上)羽を設けて、前方からの風圧で弾頭をゆっくり回転さて、その軌道を緩やかな螺旋状にすることで、高い直進性を維持しています。この為、このタイプの弾頭の命中精度を上げる為には、その命で有る羽を極力潰さない様にする事が、銃身に求められます。従って、このタイプをチョーク(平筒タイプの交換チョークも含む)の付いた銃身で撃つことは、ご法度です。また、2と同様ロングフォーシングコーン加工は、かなり有効に働きます。また、銃腔内径と弾頭外径もピッタリ有っていなければならず、大き過ぎても小さ過ぎても当りません。既製では、12番の通常の平筒銃身とゲベロット弾頭を使った装弾(ロットウェルやブローニング)の組み合わせが、最高で、20番では、弾頭外径に対して銃腔が小さくなりがちな上、弾頭外径の縮小に比例して市販の弾頭は羽の高さも低くなるので、MSSー20も含めて、市販の20番猟銃はブリネッキタイプを撃つには向きません。
 弾頭を自作出来るならば、20番でも、羽を充分高くしたり、手持ちの銃身の内径に弾頭径を合せたり、フェルトを圧縮グラスファイバー等の、より均一に変形する素材に換えたりすることで、恐らく世界一の命中精度を目指す事が可能でしょう。

 と言う訳で、既製銃に既製弾頭で撃つならば、現状では、
 1・MSSー20のチョーク無し完全平筒銃とアポロ装弾の組み合わせ
 2・薬室側1/2ライフリングの銃にサボー装弾の組み合わせ
 3・12番チョーク無し完全平筒銃と、ロットウェルやブローニング装弾の組み合わせ
の3通りが、唯一良く当る組み合わせで有り、その他の組み合わせを検討する事は、全くの無意味と言うことになります。

また、上の3つの組み合わせの優劣は、市販品では付けられません。弾頭を自作出来れば、平筒のMSSー20に改良型ブリネッキ弾頭をハンドロードしてやるのが、一番でしょう。1/2ライフリングタイプはフルライフリングを持てない以上、日本では、これ以上改良の余地が有りませんし、12番はボルトアクションでも、MSSー20程初速を上げられないので、改良の余地は少ない様です。

 結論としては、装弾のコスト面から言っても、射撃に使うならば、MSSー20の完全平筒銃にアポロ装弾の組み合わせが一番です。また、猟に使うならば、現状では完全平筒の12番銃にロットウェルorブローニング装弾が、威力面では最高ですが、将来的には、鉛弾頭は猟に使えない事になりそうなので、薬室側1/2ライフリングの12番銃に、サボータイプの銅無垢弾頭に移行していくのが良いでしょう

(ガンスミス滝田浩さんの考察です。本人の許諾を得た上で転載させて頂きました。)

Q: あなたのスラッグ銃身に合ってる弾頭形式は?
A:

 

 

御手持ちの銃身の形式が、薬室側1/2ライフリングならばサボット型弾頭、スムースボアタイプ(平筒)ならばブリネッキタイプかフォスタータイプです。
しかしフォスタータイプは如何に弾頭と銃身を密着させるかが鍵となります。市販弾のフォスタータイプはどんなタイプの銃でも撃てるようになっているので、銃身と密着するような具合の良い弾は無いようです。そのためフォスター型ではあまり当たらないと言うのを聞いたことが有ります。

Q: サボットはどのように弾頭から離れるか?
A:

フェデラル

リロードしたサボット弾やLightfieldサボのような通常のワッヅのタイプであれば発射後、空気の抵抗+遠心力の回転でサボの先端に付いている羽根が開いて速度が落ち弾頭と離れると考えられます。実際ワッヅは15mから25m先に落ちています。
一方、フェデラル等のBRI型の場合、2ピースのサボは、ライフリングのある銃身から発射した場合、銃口から出ると遠心力でサボは外側に離れていきます。
ではサボット弾をスムーズボア(平筒)から撃つとどうなるでしょう。ほとんど100%横転弾となり、ブーメランの様な回転をしながら飛びます、全然当たらなくて当然と言えます。なぜならあの様な形状のものが、高速で飛行しながら横回転すれば、野球のカーブやシュートと同じで、どのような飛行をするか予測ができないからです。
弾が実際に横転しているかどうかは弾痕を見をれば一目瞭然です。標的に当たればですが。

ライトフィールド


Q: 1/2ライフリングの替え銃身は売ってるの?
A:
ボルト式散弾銃であれば、予めバレルに加工がされていますが、自動銃やスライドアクション(ポンプ)式銃で替え銃身式のものは、後から1/2ライフリング替え銃身を追加することが可能です。

現在発売されている1/2ライフリング付き替え銃身としては
Remigton  870(ポンプ)、1100、11-87(自動)
Winchester  M-12(ポンプ)
Beretta      A-390、A-302、A-303(自動)
Ithaca        M-37(ポンプ)
Brownig      A-5、BPS(自動)
何れもハスティング社から発売されています。
最近では銃口付近にテ-パ−を付けたサボット弾専用の1/2ライフリング銃身も販売されているようです。


Q: BRENNEKE GOLD弾頭はサボット弾?
A:
BRENNEKE GOLD弾頭 ←BRENNEKE GOLD弾頭
通常のサボット弾で有れば、弾頭をプラスチックワッヅで包みワッヅごと使用しますが、BRENNEKEのGOLD弾頭は1/2ライフリング銃身にそのまま使用します。ワッヅは不要です。そのため弾頭の表面が直接ライフリングに食い込み弾は回転しながら飛んでいきます。
使用していますが、かなり命中精度は良いです(^。^)Y
しかしながら欠点として、ライフリングに多量の鉛のカスが付着するので使用後はソルベントで鉛を除去する必要があります。

Q: ライフルドバレル銃身でショットシェルを撃ったらどうなるの?
A:
聞いた話ですが、細かなシェル(粒)が銃身内で回転するため、回転の遠心力が働き、銃口から発射されると、ドーナツ状にパターンが広がるそうです。

Q: 1/2ライフリングは元残しが良いか、先残しが良いか?
A:
1/2のライフリングは元残し(薬室側にライフリング)でないと意味がありません。散弾と言えどもかなりの初速が出ていますので、先残し(銃口側にライフリング)だとある程度弾速がついてからライフリング位置を通過することになり、プラスチックワッヅを削り取るだけでうまく回転がかからないそうです。また替えチョークにライフリングを実施している銃もありますが、これも同じ理由で全くライフリングの意味がありません。

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