土佐街道周辺の巨樹 ・・・ /6


          恩山寺から天王谷を越えて、立江寺の近くを流れる立江川に沿った道をしばらく行くと櫛渕である。


櫛渕八幡神社の楠  目通り8.38m/樹高20m/枝張り22.3m/小松島市櫛渕町太田・櫛渕八幡神社


          八幡神社の鳥居横には、台状に丸く囲われた石組みの上で繁茂する大きな楠があった。その渋くえんじ色

          がかった裾広がりの主幹は、紛れもなく畏怖を抱くあの巨樹の様相で、四方に張った浮き根の様も良い。た

          だ、幹の亀裂に銅板を張った補修があり、それが浮き上がって隙間を生じている。そのためか、やや樹勢は

          鈍っているようだ。しかし荒れて堆積したような枝葉の様が勇壮で、仁王立ちする弁慶の姿も彷彿とする。


           ここから又引き返す。もう一本の巨樹は、櫛渕八幡から少し離れた民家の奥にある。

          少し前に通った天王谷にも、無形文化財「稚児三番そう」が有名な天王社に、目通り6mに近い立派な楠が

          あったのだが、ただ石碑に「旧国幣社」と記されていたのはどういう事だろうか。

 


油面神社の楠  目通り12.63m☆6.3m/樹高20m/枝張り32m/小松島市櫛渕町油面・神社


  

          櫛渕八幡から1キロ程東に戻った民家の奥に、少し疎らな樹冠が見える。社名は天満神社と八幡神社の

          どちらだったか忘れてしまったが、やや荒れて風情の漂う簡素な神域に入った。

          上記の12.63mは複数株の合計で、6.3mが主幹の目通りを示す。ただ幹に近づいてみると、一つの株

          はすぐ上で癒着して、いわゆる窓木の状態である。またもう一方の株も裏に回れば完全に合体して、その

          分岐点は目通りの基準とほぼ同じ高さになっている。規模としては目通り10mに近い巨樹にも見えた。


          再び立江川に沿って土佐街道に。国道55号はここでバイパスと交差して、那賀川を渡り阿南市へと向かう。

          阿南市には、四国最東端の地、蒲生田岬がある。