土佐街道周辺の巨樹 ・・・ 5/6
海部町を過ぎ、宍喰町に入る。名所竹ケ島には遊歩道が設けられ、一望千里の太平洋を見渡す絶景。
この町には3本の楠の巨樹とツブラジイの巨樹がある。先ずは八幡神社へと向かう。
八幡神社の楠 目通り6.1m/樹高15m/枝張り22m/宍喰町・八幡神社
牟岐線は、海部町で阿佐海岸鉄道と名前を変え、宍喰町を通って次の高知県東洋町まで続いている。
その海岸鉄道を渡って宍喰町に入り、町中から少し外れた神社の社頭に楠があった。幹は素直な円柱状の
主幹で、損傷の無い300年前後の若い巨樹。枝葉も健康でさらに大きく成長するだろう。
中心部の久保に入ると、思わぬひらけた様子の町並みで、学校の横にある八坂神社の、その立派な境内
にも驚いた。広々とした神域だが、それ以上にこの重厚な雰囲気がひしひしと伝わってくるその理由は、まぎ
れもなく目の前の巨樹が発する自然の重みだろう。
八坂神社の楠 目通り7.45m/樹高22m/枝張り32m
目通り6.54m/樹高18m/枝張り21m/宍喰町久保・八坂神社
神木は神域にあって又その神域を形作る。最大のものは拝殿の左前にあり、30m前後の根周りと、それ
にも勝る大枝のうねりが頭上に渦巻いている。この一種独特の重い雰囲気はめったに味わえない。そこら
中の霊気がここに集まっているとでもいうべきか。もう一本の巨樹は拝殿のすぐ右前にあり、根元のガッシ
リとした大きな楠だったが、やや霞んでしまう程だ。
後方の山にはシイやムクの大木が煩雑に茂り、辺りは鳥の声が絶え間なかった。
大楠の偉観に翻弄されながら、愛宕山に向かう。役所の隣にある小さな山で、もとは愛宕城の城山だった
そうだ。路地の先に急な石段があった。
愛宕神社のツブラジイ 目通り6.03m/樹高15m/枝張り18m/宍喰町久保・愛宕神社
愛宕山は今は神社をいただく神域となって、静寂な巨木の住処となっている。ただその枝の荒々しい様が唯一
強者共の名残をとどめているようにも見えた。
また本筋に戻ってきた。いよいよこの次の町からが土佐路となる。県境の水床トンネルに入った。