教員になって20年、その間、卓球の指導をトータルで10年ほどさせていただいています。私自身中学生の時に卓球部に所属していたこともあり、他の種目よりは教えられると思っていました。しか
し、今の指導方法は私が中学生の時に教わったものとはかなり異なります。ラバーの種類や戦型も様々で、それを覚えるだけでも一苦労です。このような状況で、中学生になって初めてラケットを握った生徒を、県大会や全国大会に連れて行こうと思ったら、相当な指導力と努力が必要であることは言うまでもありません。その中で、中学校の部活動800日間でどんなことに気をつけて、何をしていけば最も効率がいいのかということが、様々な紆余曲折と試行錯誤の末、最近少しだけわかってきたような気がします。それを紹介させていただきます。しかし、指導法や考え方は様々ですので、聞き流す程度に聞いてください。
1 筋トレは必要か?
必要ありません。それよりも1球でも多くボールを打たせることのほうが中学校の部活動では大切です。
しかし、練習の最初と最後にストレッチをするのは大切です。強いチームは必ずストレッチをしています。股関節を柔軟にすることや、疲れを明日に残さないこと、けがをしにくい体をつくることなど、そのメリットは計り知れません。
2 素振りはさせていいのか?
素振りは危険です。間違った素振りならしないほうがいいです。
3 多球練習
とても大事です。練習メニューの中に多く取り入れ、特に指導される先生が1球でも多く生徒に球出しをしてやることが大切です。生徒の打ち方が間近でみられるので悪いところが見つけやすく、指導がしやすいです。球出しの回数が多ければ多いほど、生徒は自然と力をつけていきます。
多球練習を充実させるには
4 ラリー練習
数学に例えると基本問題は応用問題を解くためには解けるようにしなければなりません。これができないのにいきなり応用問題は解けません。
お互いに速く、低い球を連続で続けて打つことができるような質の高いラリー練習は、内容の濃い応用練習をするために必要不可欠です。
5 サーブ練習
特に中学校1年の1学期ではスピードのあるロングサーブとよく切れた下回転サーブをストレートとクロスの2コースに確実に出せるようにしておくと、それだけで県大会に行ける場合があります。朝練習でやっているところが多いです。本練習では極力サーブ以外の練習をさせたいものです。
6 部活ノート
必要だと思います。人は教わったことを忘れていく生き物です。そのためにもノートに記録をとっておくことは大切です。また、生徒が目標をもち、練習を振り返り、反省し、考えたことを書くことにより、自分自身の歩み、成長が確認できるということ。
さらに、試合の記録をとったり、質問や感想を書く欄に
顧問が返事を書くことで、顧問とのコミュニケーションツールになります。部員の健康状態や精神状態も把握することができます。
7 団体戦で勝つためには
6人の中に攻撃型(ドライブ主戦型、前陣速攻など)、カットマン、粒高(ペン粒、バック面粒など)の3タイプが均等にいることが理想的なのだそうです。団体戦は、攻撃型だけでは勝てないということです。
8 練習試合
とても重要です。自分の力がどの程度なのかを確認したり、試合の緊張感を体験したり、相手のいいところを取り入れたり、自分の課題を見つけたり、他校の生徒と交流ができたり、情報を収集したりと、練習試合のメリットは計り知れません。
ある程度力がついてきたら毎週土日に練習試合に行って課題を見つけ、月〜金の部活動で課題の修正、克服をして土日の練習試合で確認、またそこで出てきた課題を月〜金で修正と・・・このサイクルが理想的だと思います。
9 強い選手の共通点
・ 強 気
・ 意外性
・ 対応力
・ ひらめき
・ やりにくさ