飲んだ数だけ物申す「どらパパ」のワイン講座.htm
飲んだ数だけ物申す「どらパパ」のワイン講座

ごあいさつ
どら息子でございます。お久しぶりの更新です。今回から数回にわたり、「私のフランスワイン旅行記 '95」と題しまして”行って見てきたから言えること”を皆さんにお伝えしようと思います。そこには 普通の観光旅行では味わえない「フランスの田舎」がありました。

日本リカーさん、お借りしてま〜す m(^^)m 「フランス・アルザス地方編」

フランスとドイツの国境付近に広がるアルザス地方の県都「ストラスブルグ」は、フランスに居ながら ドイツを感じる街(旧市街)です。ラテン民族とゲルマン民族とが融合したような・・・フランス人に しては背が高く、がっしりしているし、フランス語を話してるけど街中の看板の文字は長ったらしくて 読みづらい。建物はそのまんまドイツでした。きっと過去の歴史の中で、ドイツ領だったりフランス領 になったりを繰り返してたんでしょうね。


Hotel de Regent Petite France ストラスブルグで泊まった Hotel de Regent Petite France(リージェント・プティ・フランス・ホテ ル)ワインとは関係ないのでこれ以上写真は紹介しませんが、とってもかわいらしく、きれいなホテル でした。もし、ストラスブルグに行くことがあったら絶対おすすめのホテルです。

町並み ストラスブルグの旧市街は景観保護の為か、クルマの乗り入れが規制されており、昔ながらの町並みを 保っていました。詳しくは知らないのですが、建物はほとんどドイツ風で、フランス一発目の訪問地と しては、何か違和感を感じました。まあ、フランス領には間違いないのですがね・・・。

Le Baeckeoffe d'Alsace ランチはこの Le Baeckeoffe d'Alsace というレストランで食べました。メニューを見ても、フランス 語とドイツ語が混ざっていて識別不能!ガイドブックの簡易辞書を使っても意味不明・・・。適当にオ ーダーしてみると・・・

ランチ 「フランス領ドイツ風の肉じゃが」陶製バケツ盛り・・・てな感じの料理が運ばれてきました。これが 超ビッグサイズ。こっちの料理はボリュームがすごいとは聞いていましたが・・・。しかし、食べきれ なかったら日本男児の恥。大食漢で通っている私の名がすたる!なめたらあかんぜよ!ってな感じで意 地でも食べちゃいました。その後、ホテルまでの道のりが遠いのなんの・・・。歩くのもやっとでした。

Sylvaner 今回注文したのは、日本では見たことのないメーカーの Sylvaner (シルヴァネール)というワイン。 ドイツ地方でポピュラーに使用されている葡萄品種「シルヴァーナ」はフランス語では「シルヴァネー ル」と発音します。同じ葡萄品種ですが、ドイツでは甘口になり、フランスでは辛口の白ワインになり ます。爽やかな酸味をもつ、すばらしいワインでしたが、料理のボリュームがありすぎて、最後のほう はジャガイモを胃に流しこむための液体として飲んでしまいました。

店名忘れた さて、遅めの昼食を済ませ、歩くのもやっとでホテルに戻ったのが午後3時。・・・忘れてた。今夜は ツアーメンバーと夕食を食べに行くことになってたんだ・・・。約束の時間は午後6時。・・・これ以 上喰えるかい!あと3時間で腹が減るわけないやん!でも約束は約束。腹いっぱいで行けませんなんて、 胃が裂けても言えません。とりあえず寝る。・・・そして起きる。午後6時。みんなと落ち合って、そ こから15分ほど歩く。・・・歩くのがツライ。やっとたどり着いたレストランがここ。この建物の3 階。なんと木造で階段はギーギー、ミシミシ。ツアーメンバー(ほとんどの人がソムリエ)の一人が教え てくれた。なんでもここは地元では有名なレストランらしい。胃が重くて階段を登るのさえツライ私は、 当然、レストランの名前なんて覚えてません。あしからず。

グラスは完全にモーゼルタイプ 着席するとテーブルにはすでにカラフェに入ったワインとグラスがセットされていました。どう見ても ドイツにいる気分です。もしかして、あま〜いワインかな?と飲んでみると・・・それはフランスの味 がしました。ホッとした気分になった時・・・

ドイツ料理? 出てきた料理がこれ。まんまドイツ料理ですね。両手で掴めるだけつかんだキャベツの千切りを皿に盛 り、その上にソーセージ、ソーセーシ、ハム、ハムとてんこ盛り。でも聞くところによると、典型的な 郷土料理だそうです。まあ、フランスにいるのだからフランス料理だぁ。普段の俺なら楽勝で食べます が、この日はしんどかった。でもね、美味しいのよこれが。日本製のハムやソーセージよりも香りが高 くてジューシーなの。こんなに美味しいものを、残すわけにはまいりません。よっぽど「お持ち帰り」 にしてもらおうかと思ったけど、ギャルソンはオンリー「ドイツ風フランス語」なので日本語が通じま せん。(あたりまえだ!)しかたなく、全部食べちゃったぃ!どうだ、まいったか!と勝利の感慨にふ けっていると・・・

巨大アイス!(一人分) 出たぞ〜巨大デザート。確かマロンのソルベだったと思います。これが一人前なんですよ。こちらでは アイスに Marc 「マール」(ワインを造るときに出来る葡萄のしぼりかすからつくったブランデー。日 本で言えば「粕取り焼酎」かな?)をかけて食べるんです。アルコール度数は40度。冷たいアイスだ からアルコールはさほど感じませんが・・・。この時点で不肖、佐竹卓也 早くもフランスの地に散る! ひとかたまりだけ残しちゃいました。スミマセン。

朝から大食 そんなこんなのストラスブルグ初日でしたが、ホテルへ帰ると速攻でベットに横たわり、胃腸の回復を 待ちます。後からマールのアルコールが効いてきて・・・よく覚えていません。しかし次の日の朝、 ヴァイキング方式のホテルのカフェではパンとコーヒーをむさぼり喰う男の姿があったそうな・・・。

Hugel&Fils社 ストラスブルグから75kmほど南にある「リクヴィール」という町に、今回おじゃました Hugel&Fils (ヒューゲル・エ・フィス)社はあります。「ヒューゲルと息子たち」なんて名前の会社・・・歴史を 感じさせますねぇ。フランスでは有名な醸造家は社会的なステータスが高く、(もちろん日本でも高い んですが、フランスはそれ以上)家族が代々経営してきたことに対してものすごい「誇り」をもってい ます。このヒューゲル社も創業は1639年だそうで、かれこれ350年以上の歴史があります。

Riquewihr風景 街の周りには、なだらかな丘が四方に広がり、すべて葡萄畑で囲まれています。やっとワイン産地を巡 っている感じがしてきました。

Riquewihrの古地図? ヒューゲル社のある Riquewihr(リクヴィール)という街は中世の城塞都市を思わせる街並です。とい うか、城塞都市でした。この写真は中世のこの街の全景図です・・・たぶん。残念ながら暗い部屋で、 写真を撮る時にフラッシュが光ってしまい、ハレーションが写ってしまいました。

プレス機 これは収穫した葡萄を破砕・圧縮してジュースを絞る機械です。主に白ワインをつくるのに使用される のではないかと思われます。ステンレス製で清潔そうです。

酒石酸の固まった石! みなさんは、ワインのコルクを抜いた時、コルクの底にキラキラとした結晶がついているのを見たこと はありませんか?酒石酸カルシウム(ほんとうは「粘液酸カルシウム」でした。・・・読者様からのご指摘。 どうもありがとうございます。)といって、品質の優れたワインには必ず含まれている成分です。醸造所 のタンクともなれば、その規模は巨大で、ホーローのタンクの底一面にびっしりと酒石がこびりつきま す。その破片の写真です。逆にいえば酒石がつくということはそれだけ品質がしっかりしたワイナリー だという事です。・・・ワインに携わる商売をしてると、時々、「おたくで買ったワインのコルクに変 な石みたいなのがついている。おかしいから交換してくれ」などと、返事に困るクレームがくる時があ るのですが、私らプロはコルクの底がキラキラと光っていたら、それだけで「ニヤニヤ」してしまいま す。コクのあるしっかりとしたワインの証ですから。

巨大樽 地下には巨大な木製の樽がたくさんありました。ワインの種類にもよりますが、最低でも1年はこの樽 の中で熟成されてから瓶詰めされます。ブルゴーニュやボルドー地方などでは顕著ですが、この「樽熟」 によって、ワインに独特の香りがつきます。詳しくはブルゴーニュ編かボルドー編で紹介しますが、全 てのワインが木製の樽で熟成されるわけではありません。ステンレスやホーロー製のタンクで熟成され るワインもあり、この場合は木樽の香りはつかず、葡萄品種そのものの香りが際立ちます。

世界一古いワイン樽 ギネスブックにも載っている「世界で最も古いワイン樽」です。"カテリーヌ"と呼ばれていました。 1715年から使われていて、今でも使っているそうです。真ん中に飾ってあるギネスの賞状?がちょうど 目線の高さぐらいでしたから、けっこう大きな樽でしたよ。彼女?は今日までいったい何本のワインを 産み出してきたのでしょうね。

地下セラーにて 地下セラーで説明を聞いている・・・ふりをしている私。説明してくれているのは当時の当主である ジャン・ヒューゲル氏。彼によると、「リースリングとゲヴェルツトラミネールの売れ行きの比率は、 その国の魚の消費量に比例する。香港ではリースリングとゲヴェルツは1対4だが、日本は4対1で ある。」なるほど・・・確かに日本ではリースリングはよく売れるがゲヴェルツは「売らないと売れな い」からなあ・・・。でも、ゲヴェルツは魚に合うというよりも「中華料理」に合うんじゃないかなぁ などと考えながら聞いていた時の写真です。

カビカビ天井? 見づらいですが、地下にある瓶の棚。瓶詰めされて熟成を待ちます。天井の所を見てください。一面び っしりと「カビ」がついています。どこのワイナリーでもそうですが、地下セラーは「カビ」だらけ。 別のワイナリーを紹介するときにお見せできますが、すごいところはカビが厚さ10cmぐらいありました。 (何でわかるかって?・・・手を突っ込んでみたら指の根元までカビに埋まったからです!)カビが生 えるということは、それだけ湿度があるということで、ワインを熟成させる条件が良いということです。 (花粉症の方、潔癖症の方はワイナリー訪問はお薦めできませんね。)カビについてそんなに詳しくは ないので断言できませんが、ワイナリーによってカビの色や形は微妙にちがいました。ブドウジュース を発酵させる「酵母」も、極端にいえば「カビ」の一種みたいなもん?でして、(ほんとは単細胞植物) ワイナリーによっては発酵させるのに特定の酵母を使わず、その蔵に住み着いている酵母にまかせる・・・ 自然発酵とでも呼べるやり方をするところもあります。(余談ですが、日本酒をつくる「酵母」にも 「協会9号」とか「熊本酵母」などと呼び名がついてますが、科学的に作り出したのではなく、いいお 酒を造る酒蔵に昔から住み着いている酵母を培養した物が日本中に流通しているだけなのです。詳しく は「おやじの日本酒講座」をご覧ください。)

ティスティングルーム ワインの製造工程に沿って、一通り見てまわった後、いよいよ「ティスティング」の始まりです。ヒュ ーゲル社の誇るすばらしいワインをいろいろと飲ませていただきました。
☆Alsace Riesling 'Jubilee' は通常のRieslingよりフレーバー、ボディの余韻が長く、印象に残っています。「このワインはGran Cru (特級)畑にもかかわらずGran Cruとは表示していない。なぜならGran Cruを上回る品質でつくってい るからだ。あえてGran Cruと表示して、そのへんの商売上手の(ワイナリーの)Gran Cruと一緒にされ ては困る」と語気を強めておっしゃっていました。あと、
☆Tokay Pinot Gris 'Jubilee'もGran Cru だそうです。(じつはHungaryのTokay品種の移植という伝説に基づきTokayの名をつけているが、本当は ほとんど全部北イタリアのPinot Grigio種だ!などと、暴露してました。・・・これって、しゃべって いいのかな?)また、「老齢の葡萄の木からつくるワイン、'Vieilles Vignes'(ヴィエイユ・ヴィーニュ) は樹齢25年でピークを迎え、その後は年々生産量が減る。・・・が、そのために中身が濃くなり、品 質的には長くピークを保ちつづける。」などと、詳しく話してくれました。

ティスティングを終えて ティスティングを終えて「ホッとひと息」ついてるところ。このあとジャン・ヒューゲル氏と共に昼食 会です。その場所というのが・・・

AUBERGE DE L'ILL ミシュランのガイドブックで三ツ星の栄誉に輝いているレストラン「オーベルジュ・ド・リル」です。

せっかくのテラスも雨 ここには裏庭というか、テラスがあり、川が流れていました。「うわぁ、ここで食べたい!と思いまし たが今日は朝から雨が降ったり止んだりのぐずついた天気。残念ながらテラスでは無理でした。

美食でも大食 何を食べたかあまり覚えていません。覚えているのは「昼食会」などという、軽めの食事などではなく、 「昼間に食べるディナー」でした。フォアグラがでっかくてしかも超美味しかったのを覚えています。 ジャン・ヒューゲル氏が「フォアグラはアルザス産がフランスで一番だ!」と言ってたのを思い出しま す。(・・・実はこれから先、訪問する先々でフォアグラは食べるのですが、皆さん自分の住んでる地 方が絶対に一番うまいと言って譲りませんでした。このツアーはバスでフランス全土を巡るのですが、 そのドライバーの「ジャン・クロード」氏(彼は軍隊上がりの厳格な性格で、自説を曲げることを極端 に嫌う)は今回の訪問地であるアルザスの出身でしたが、行く先々でフォアグラの話題になると、人の 意見など無視して「フォアグラはアルザス一番」説を展開していました。相手がその訪問地の「ホスト」 だろうが美食家で通った有名人だろうがおかまいなしでした。「フランス人は個性的とは聞いていたが ・・・ここまで言うかぁ〜?」横で見ていてハラハラしながらも、面白くもほほえましい「おっちゃん」 でした。)

記念撮影 食事が終わって「記念撮影」

今回はここまで。次回はBourgogne/Beaujolais編を予定してます!お楽しみに!

★バックナンバー第1回「所信表明演説?」

プロフィール
佐竹卓也・・・昭和42年 酒屋の息子として生まれ、現在に至る。平成2年から「Y氏夫妻」に師事 しワインに目覚め、ワインばかり飲みつづける。その時期「ビールは苦くて飲めない。」との発言で、 周囲から「あいつはガキだ。」との噂が立つ。ワインの飲みすぎでウエストサイズがかなり増えたらし い。平成7年と11年にフランスとイタリアにワインセラー見学と称して仕事を放棄して逃亡。周囲から 「どら息子」と呼ばれる。現在までに飲んだワイン総量は800本オーバーらしい。と言うのも本人はも う正確な本数を覚えてないらしく、周囲から「アル中」ではないかと疑われている。最近のワインブー ムを冷めた目で見ている。ブームではなく本当にワイン好きなお客さんに出会うと無性に嬉しがる、少 しさみしがり屋のおひつじ座生まれの33歳。A型。妻あり双子の可愛い女の子(りあーず)あり。 でもファンレターはこちらへ。