「黒米」を食べることから、歴史の学習を見直す
戸井 和彦
玄米は、籾から籾殻のみを取った米のことである。かつて、「黒米」と呼ばれていた。
しかし、古代に食べられていた「黒米」は、現在の玄米とは籾殻の色が異なる。黒っぽい色をしている。
この米は次のところで手に入れることができる。→黒米の手に入れ方
この「黒米」、現在では白米などに少し混ぜて、赤っぽい色をつけ、赤飯などとして食べられている。
子どもたちに、この「黒米」を手がかりにして、「食」という観点から、歴史を学習をしてみた。
その指導計画は次のとおりである。
昔の人が食べていたもの調べよう 1時間目 「黒米」を食べてみよう 2時間目 貴族や武士の食生活を比べてみよう 3時間目 貴族の食事、武士の食事の栄養を比べてみよう。 |
※
1時間目の授業を紹介する。(授業記録)
事前に用意しておくものは、次のものである。
・生の黒米 ・鍋で炊い黒米 ・ルーペ |
まず、その生の黒米を各班に配ってたずねる。白い紙の上に置かせる。
指示1 これは、昔の人が食べていたお米です。これを観察して、気がついたことを書きなさい。 |
以前に、玄米と白米の違いを観察によって調べさせたことがある。そこで、今回は黒米のみとした。
初めての場合は、白米と黒米の両方を用意して比較させてみると面白い。
10分くらい時間を取り、自由に調べさせる。
どの子も中を割ってみたがるので、そうさせるとよい。
(子どもたちの反応)
次に炊いている黒米を配って、実際に食べさせてみる。
指示2 黒米を食べてみて、気がついたことを紙に書きなさい。 |
この学習を土台に、奈良時代、平安時代、鎌倉時代などの食生活を比較させていく。
例えば、奈良時代を見てみると、貴族は白米であるが、下級役人は玄米を食べている。平安貴族は
白米であるが、鎌倉武士は玄米である。
主食である米が歴史に大きな影響を与えているような気がしてきた。