JAIFA 日印友好協会 ニューズレター

創刊号

か  は 

平成11年7月10日 発行

「なぜ性懲りもなくインドに行くのか」

会長 岡本 幸治

私がインドにはじめて長期滞在したのは、もう20年以上の昔になる。2つの関心が私をこの国に向かわせた。1つは、仏教という、とてつもなく奥行きのある宗教を生んだインドとは一体どんな国なのか。自分の目で感覚で確かめたいという関心。2つはインド近代史に関するもので、インドは日本をどのようにとらえて来たのか。インド自身は自らをアジアの一部と考えているのだろうか、という疑問だった。とくに、大東亜戦争中に日本軍と共に戦ったインド国民軍の司令官チャンドラ・ボーズの思想を知りたいと思った。これは私のアジア主義研究の中から、ポッカリと浮上してきた問題である。

1年の滞在を終えて帰国した直後には、私がその後インドに何度も足を運ぶことになろうとは全く思いもしなかった。にもかかわらずほとんど毎年のようにインドに出かけて、今日に至るまでもうヤーメタという気にならないのは何故なのか。時々自分でも不思議に思うことがある。他人に言わせると、よっぽどインドに惚れているんでしょう、インドが好きなんでしょうという。だが、私は総体としてインドに対して、惚れたことも、好きになったこともない。好きか嫌いかと言われれば、好きな所もあれば嫌いな所もあるといいう、がっかりするような平凡な答えをするしかない。

では何故懲りもせずインドに行くのかといえば、日本にないものがこの国には一杯あるからだ。いの一番に挙げたいものは、多様性だ。現代の日本は、東京一極集中やマスコミの発達、何でも平等主義などの浸透によって、画一化、平均化、平準化が目立つようになり、地方色も急速に失われている。インドはこの点で全く対照的な世界である。私はインドでは体内の野生が蘇る。普段眠っている感覚器官が目を覚ますのを感じる。そして、命が充電する。私にとってのインドは、生命力蘇りの充電器である。

 

平成10年度後期の活動報告

本会は、日本とインドに住む人々の友好を図るべく活動をしています。平成10年度後期(11年2月から11年7月)においては、料理会やインドからの客人の歓迎会を行いました。これらに関して簡単ではありますが、活動記録をレポートします。

1.インドの食文化を考える会

去る4月24日、JAIFAで既におなじみなった行事である「インドの食文化を考える会」が催された。今回は会場を四電プラザから松山市福祉センターを利用して行われる初めての会である。また、日曜日の12時からという時間帯を変更して、土曜日の午後に行うという、今までとはちがうスタイルが採られた。講師は、もはやJAIFAではおなじみとなった、ムニラットナムさんと婦人のマドゥシュリーさん。東京から今回の行事に駆けつけたムニさん夫妻をあたたかく松山に迎え、料理を通じてより交友を深める会となった。

さて、今回のメニューはチキンカレー、セーミア、チャイ、ダルそしてパコラであった。特筆すべきは、初挑戦のパコラである。パコラはインド風天ぷらとでも言うべき料理で、じゃがいもやたまごを油で揚げる料理である。これが大変おいしくでき、参加者の間で好評であった。次回も会場は福祉センターになると思われますので、是非御参加お願いします。

2.ディヴェディ夫妻の歓迎

6月11日(金)、インド旅行の際、大勢のJAIFAメンバーがお世話になった、ラゲージュ=ディヴェディ氏とスニータ夫人が来松された。翌12日、大三島で戸澤事務長らと釣りを楽しんだ後、松山市内のレストラン「田都(たと)」(三番町)で夫妻の歓迎パーティーが19時より催された。その席の中で、ラケーシュ氏は、JAIFAを通じての日印友好の成果を強調され、スニータ夫人はインド旅行の際、現地での魅力的なツアーをたくさん検討していると述べられた。

この日参加した30人前後のメンバーと、来るべきインド旅行を楽しみする学生達やメンバーの知り合い達がディヴェディ夫妻との交流を楽しんだ。

後日、夫妻は愛媛新聞社を訪れ、多くの人々に向かってインドと日本の一層の友好促進を希望し訴えた。(W)

3.事務局内での話し合い

事務局において打ち合わせや話し合いがほぼ隔週繰り返され会則の変更案の作成、各種活動の準備等が行われた。3月以前の話し合いについては前回のプレ創刊号にてお知らせしております。4月以降ついては次のようになっております。

○4月11日(日) 18時から 戸澤研究室にて

○5月 8日(土) 18時から 戸澤研究室にて

○5月29日(土) 18時から 戸澤研究室にて

○6月 5日(土) 17時から 戸澤研究室にて

○7月 9日(金) 18時から 戸澤研究室にて

○7月14日(水) 18時から 戸澤研究室にて

 

〔レポート〕

『サンチー・ストゥーパのレリーフに見る釈迦の生涯』を聴いて

(平成11年6月7日(月)18時30分〜20時30分、愛媛大学にて)

愛媛大学保健管理センター主催のこの講演は、インドのサンチー(ボバール近く)にある仏教遺跡ストゥーバ(佛舎利)に描かれている彫刻を佛典に従って読み解こうという知的好奇心を満たす内容であった。講師の溝口史郎氏は、解剖学の権威であり、現在は神戸学院大学の理事長をされている。

サンチーのストゥーパは古代印度史で有名なアショカ王が紀元前に仏教を流布するために作ったものであり、現在残存する唯一のものである(3基残っている)。何世紀もの間、森林に覆われるうち捨てられていたために、異教徒の破壊から免れたインドで現在する数少ない古代仏教の遺跡の一つとなっている。門柱に彫られたレリーフは佛典 Mahavastu(マハバスト、「偉大な出来事」の意)やJataka(ジャータカ、「布施と自己犠牲」)等に描かれている神話を説話を「だれにも分かりやすい形で」彫刻したものである。しかし、文字は一字も彫られていないためもあって、絵の意味を知る者は今日ではいない。解読の手順としては、古代佛教に関する聖典をひもとくしかなく、溝口氏はインド古語による佛典の翻訳作業から始めねばならなかった。

講演では、釈迦が前世にどのような徳をなしていたかという壮大な物語をレリーフ写真のスライドを使って何とも楽しげに語られた。

11月末に、溝口氏はレリーフ解読の旅に出る予定である、さぞや精力的な旅になるに違いない。これこそ現代の巡礼である。(Y)

 

平成11年度活動のお知らせ

事務長 戸澤 健次

このたび、体制が整い、JAIFAのニューズレターが発行される運びとなました。これからは、事務局からのお便りをこれまで以上に詳しくお知らせするように努力したと思います。

さて、早いもので、JAIFAが発足して以来、まる3年が経とうとしています。この間、会員の皆様には、物心両面にわたり、惜しみないサポートを賜り、心より感謝申し上げます。これかもJAIFA、日印の民間レベルの有効促進に邁進する所存ですので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

平成11年の第4l回総会は、8月1日に開催される予定です。会員の皆様に満足いただける内容を検討しようと考えています。今年は、会員や役員の中から、会員の登録と退会について、手続きを明確にしてほしいとの声が聞かれました。そこで、現在、事務局では会員の条件を明確にしようと努めています。原案では、会員に会費を納入していただくとき、一定の期間を設けてその間に納めていただき、その後、返事のない会員については、会費の納入の督促状を送り、それでも返事のない場合は、事務局で会員を続ける意思があるか否かを直接お伺いし、意思がないということが確認されたら、その時点で会員名簿から削除するというものです。毎年、会員継続の意思の明示していただくということになります。もちろん、翌年また入会したいということになれば、会費を納めていただければ復活できます。

非会員の方もJAIFAのいかなる催しにも自由に参加できますが、事務局からは、他の会員の会費を使ってお知らせを送るということは致しませんので、口伝えにお聞きになって参加頂くことになります。もちろん、途中からでも会費を納めていただいた方はすべての連絡をお送りいたします。このような変化を明確にするため、会則の一部変更も検討しています。

以上が原案のようなものですが、これらはすべて総会で決定していただくことになります。

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(編集部からのお知らせ)

1.編集部では、原稿・イラストの投稿をお待ちしております。題材はインドと読者とのつながり(かけはし)に関するものなら何でも。字数等は編集部にご相談ください。

2.住所変更の通知は事務局までできるだけ早くお願いします。

日印友好協会(JAIFA)事務局

松山市文京町3

愛媛大学法文学部 戸澤研究室(〒790-082)

電話:089-927-9245

FAX:089-927-9226

 

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