悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
clear aspect

抑うつ状態

考え

 抑うつ状態になると色々な考えが頭の中に浮かんできます。ですが、抑うつ状態で頭の中に浮かぶ考えは、あまり人生を建設的な方向に導くものではありません。考えれば考えるほど悲観的な考えの方向に傾いて行きます。この悲観的なものの見方や考え方が、気分の沈み込みと関係しています。
 私の考えでは、たぶん、無意識が自分の活動を停止させるために勝手に考え方自体を操作しているのだと私は思うのですが、それにしてもこの考え方の悲観的な方向への操作は操作されている本人の意識には壊滅的な打撃を与えるようです。
 認知療法では抑うつ状態になったときの心の状態は、自分や自分を取り巻く環境の認識のあり方が歪んだ状態であると考えています。抑うつ状態になるとこの状態に特有な考え方の傾向があらわれて、それがその人の気分を落ち込ませてしまい、その気分の落ちこみがまた新たな悲観的な考えを生んで悪循環していきます。自分のことを考えれば考えるほどどんどん自分の気分を害する方向へ考えが引きずられて行き、さらに気分が落ちこむようになっていきます。

悪循環

 誰でもそうですが、自分の頭の中にある考えだけが正しいとどうしても思えるので、この考えの悪循環にはまっていることになかなか気づきません。
 この悪循環は時間の経過と共に徐々に確実に進行していきますが、その進行が急激におこるわけではないため、状況がかなり悪化するまで自分自身が気がつかないことが多いのです。この場合、「今の状況はなんとか自分が努力したら回復できる」とか、「頑張れば何とかなる。」といった盲信で人生を突っ走っています。ストレスが溜まって体や心を休めないといけないのに、休むことはよくないこととか、周囲の期待に答えるためになどの適当な理由をつけて頑張り続けます。
 そんな状態が長く続くと、体も心もぼろぼろになってしまいますが、こんな筈じゃないと理性は思いつづけています。こうなると体のほうはたまったものではないので、体や心がぼろぼろになったところで生命を維持する機能を担った大脳辺縁部が情動を操作して「やる気」そのものを減退させてしまいます。そうしないと自分の健全な身体の状態を維持できなくなって、心身症などの病気になってしまうかもしれません。

理性

 でも、人間の理性は「無限」と言う概念を受け入れるぐらい貪欲なので、そんな状況でもなんとかこの不快な状況を脱出しようと努力を続けてしまいます。ですが、理性のほうでも自分の体がエネルギー不足はなんとなくわかっていてあせっていますから、できるだけ短時間で労力を使わない方法で抑うつ状態から抜け出そうとします。何かが起きると、ちょっとした特徴だけを捉えていろいろなことを判断してしまいます。このような判断はほとんど無意識に自動的に行われ、「心の癖」のようになってしまいます。心に余裕があるときは冷静に考えて、複数の考えを比較検討し最適な案を選択することが簡単にできるのですが、自分の気づかないうちに考え方が一つの固定したパターンに陥りがちになってしまいます。それが現状にあっているかどうかの判断すらだんだんおぼつかなくなってきます。その上、そんな短絡的な考え方をするのは「それが自分の性格なんだ。」と諦めてしまうこともあります。これも認知の歪みにすぎません。
 このような状態では、理性はほとんど悪魔のような役割しか演じられなくなってしまっています。
 この心の状態についてはほとんどの場合他人には相談できません。他人との良い関係を維持したいと考えるからです。たとえ、この状態を他人に相談できて、さらに相談した相手がおかしいと気づいても、本人がそのアドバイスをきちんとうけとらなければ意味がありません。
 ですから、自分自身で自分の考え方の悪循環に気づくまで苦しむことになります。

理性
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