悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

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澄んだ眸
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自動思考

 本人が全く気づかない、こうした認知の歪みのなかには、あまりにも習慣化されているため自分ではほとんど何も考えずに行動を起こしてしまっていることがあります。この行動は自分では気づきにくいものですが、他人の行動を見ていると、ふと自分もこんなふうに行動しているのではないかと思うことがあります。
そういった自動思考について考えてみましょう。

お嫁さんの行動

 私のお嫁さんは、とてもかわいいお嫁さんですが、それでも変なところにこだわることがあります。
 それは、食事中に突如としておこります。
 私が左手を食器に添えて食べていないと、食べている食事を取り上げて、せっかく作った晩御飯を捨ててしまいます。

夫の事情

 私は男の兄弟の中で育ったためか、食事中のマナーについてあまりきちんと教わりませんでした。母親も働いていたため箸がきちんと握れて、煮魚をきちんと食べられたらそれでOKです。

そのため、高校生になって初めてナイフとフォークで食事をしないといけなくなったとき、友達の食べる様子を見て肉を切って食べたのですが、その友達が笑うんです。
「おまえ、ちゃんと洋食のマナー知っといたほうがいいぞ。」
見た目はその友達のとおりをまねて左手にナイフ右手にフォークを持っていたので、
「おまえとおんなじにもっとんのに何がちがうん。」
と聞くと、その友達曰く
「俺は世間の人とは違って左ききなの。おまえは世間の人と同じで右利きだろ、世間ではナイフは右手、フォークは左手なの。俺は利き腕が左だから、自分が切りやすい左手でフォークを握っているの。」
私は、
「それは知らんかった。洋食なんて食ったことないんで・・・。」
と言ったような気がします。

妻の事情

 それはともかく、私のお嫁さんは女の兄弟の中で育ったためかきちんとマナーをしつけられたらみたいです。
 私が左手を食器に添えて食べていないと、食べている食事を取り上げて、せっかく作った晩御飯を捨ててしまいます。
 私はそんなマナーは聞いたこともなかったので、
「何でそんなことするん。」
 と聞くと
「お行儀がわるいからよ。」
 ときつい口調で反論します。
 私は「お行儀が悪いと」は思っていないので、ぜんぜん納得できません。「左手を添えてないとお行儀が悪いなんて聞いたこともない。」
 と反論すると、
「私の家ではそんなことはなかった。」
 と妻は言い返し、
「私の家ではそんなこと気にせず、ご飯を食べていた。それに私がどう食べようと君にはあんまり関係ないじゃん。私は晩御飯がたべたかったのにそれを取り上げててしまうことないでしょ。どうして苦労して作ったご飯をそんなに簡単に捨てられるのよ。」
 と私。
「あなたも子供の親になったんだから、それのお手本になるようにしてほしいの。子供がお行儀悪く育ったらどうするの?」
「それは子供が両方の親を見て決めることだろ。子供がお母さんの方がかっこいいと思えばそうすればいいし、 手の位置なんかどうでもいいと思えば私のように育つと思うよ。どうして、子供が決めることを君が決めるの。それに私の晩御飯はどうなるのよ。」

習慣

 どこの家にでもありそうな夫婦喧嘩ですね。

 でも、やっている本人にしてみれば真剣です。
 妻の意見はあえて書きませんが、私のそのときの気持ちは、お行儀が悪い私を否定せずに受け入れて欲しかったのだと思います。お行儀が悪いことを指摘された時、自分の全てが否定されているような気がしました。
 私は左手をださなくてもいい環境に27年も育ってきたのです。なんで今更それを変える必要があるのでしょう。
 そう思いながらも、やはり晩御飯は食べたいので、しぶしぶ左手を添えて食べることにしました。
 でも、習慣とは恐ろしいもので、時々それを忘れるときがあります。そういうことがたびたび続くと、妻の方でもだんだん切れるようになってとうとうあるとき、お皿が飛んできました。

歪みの矯正
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