脳の中の情報伝達は細胞内では電気信号が使われますが、細胞間では情報伝達物質を媒体にして伝わっています。
快楽を伝える物質。(覚せい剤はこのドーパミンに良く似た化学構造を持つ物質であることが知られています。)
情動を押え、冷静な判断を行うときに使われる物質。また、生活のリズムを整える物質。 セロトニンを原料としてメラトニンが作られる。このメラトニンは強い光を浴びた14時間後に脳内から代謝され、睡眠誘発する物質として知られています。(国際線の客室乗務員が時差ぼけの改善に使っている)
ストレス状態に耐えるときに使われる物質。ノルアドレナリンのノルは「本当の」という意味があります。ストレスを受けるとアドレナリンが体中を駆け回ってストレスに対抗しようとします。このアドレナリンの元になる物質がノルアドレナリンです。
普通の場合はこれらの情報伝達物質はバランスよく働いています。
このセロトニンの不足すると、情動を押えることが難しくなります。
うつ病の名前は気分障害、もしくは「躁うつ病」とも呼ばれます。セロトニンの働きが弱くなると、ドーパミンやノルアドレナリンの影響が強く現れるようになります。躁になる場合はドーパミンが優位になる状態です。うつになるのはドーパミンよりもノルアドレナリンの影響が強く現れる状態です。どちらが優位になるかは国民性や地域性が関与しているらしく、ヨーロッパでは躁になる人が結構多く、日本ではあまりあらわれないことが知られています。
また、周期的に優位になる情報伝達物質が変化すると「躁とうつ」を繰り返す双極性の気分障害になることが知られています。
これらの話は「セロトニン欠乏脳」という本に書かれているので詳しくはそちらを読んでください。
またセロトニンを原料にして作られるメラトニンは睡眠誘発物質です。この物質が作られない状態だと不眠になることは容易に理解できると思います。