悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
clear aspect

仏教

ブッダ

悟り
 そしてとうとう苦行をやめて、菩提樹の下で瞑想した後に悟りを開きます。このとき初めて「真理に目覚めた人」=「ブッダ」になったそうです。
 「目覚めた人」はその悟った内容を他の人に話すかどうか迷った末、苦行を励んでいた昔の仲間に話し始めました。このとき最初に諭したお話は、「欲望に溺れる生活も、苦行に満ちた生活も両極端の生活は人の心に安らぎを与えない」という、後に「中道」と呼ばれる考えを示すものでした。「目覚めた人」の経歴から考えるとそれは自分の体験から得た皆が納得できる考えだったように思われます。その後、苦から逃れるための方法を徐々に話していったみたいです。ブッダはインド各地を巡り、他のインドの思想教団をどんどん取りこんでいきました。そして原始仏教が始まったようです。そう言った布教活動は全てブッダが弟子に口頭で伝えたもので、文字としては残っていません。ですが、各世代の人々がそれぞれ納得する教えでなければ、文字になるまで500年もの間、語り継がれることなんて想像できません。きっと人間の本質に近い考えがその教えの中にあるのではないかと私は考えます。 さらにさらに、目覚めた人は苦しんでいるその人を少しでも楽にするために、相手に応じて説明の方法を変えていたようです。輪廻を信じている人にはそれを認めながら少しでも楽になる方法を、真面目な人には力を抜くように、また、ルーズな人には真面目にするように相手に応じて教える事は全て違っていたようです。
 あたりまえのことですが「ブッダ」も人である以上死んでしまいます。
 愛を語る宗教のキリスト様が弟子に裏切られて殺されるのに対し、ブッダが天寿を全うする死に方だったことは大きな意味があると私は思います。
 臨終に当たって弟子のアーナンダに言われた言葉をまとめると、
「あらゆるもの・ことがらは滅びてゆく。自らを灯火として、真理を灯火として、怠ることなく精進して修行を完成させなさい。」
となるみたいです。
 私はもちろん仏教の修行をしているわけではありませんが、私にとっての修行を完成させる事は「抑うつ神経症」の患者としてよりよく生きる事なのだろうと思います。それを実現するにはやはり自分をたよりにすること、「目覚めた人」が見つけた真理に近づく事が大事な事だと思うようになりました。

死後
 彼の死後、弟子たちが集まって、彼の教えをまとめることになるのですが、彼が人に応じた教え方をしたため、意見を調整するのにずいぶんと難航したようです。 目覚めた人の生活の世話をしていたアーナンダと言う弟子は、目覚めた人がそれぞれの弟子に話した内容を全部覚えていたそうですが、それが故にアーナンダ自身が悟りを開くのに時間がかかったそうです。このときも確認した内容を文書にして残すことは行われませんでした。もちろん仏像なんて作られてもいません。ブッダがいたところには「法輪」と呼ばれる車輪のようなものや、足跡だけが書き残されているだけで、現在、私たちが見る仏像は「目覚めた人」をまねて作ったものではないのです。
 もちろん、キリスト様のように死後にブッダが復活したというお話はありません。輪廻から解脱し涅槃の世界にいる人は復活する必要もなければ神になる必要も無いからです。
 死後の世界についてブッダはあるとも無いとも言っていません。そんなわけのわからないものにこだわるより、今の生き方を見直すほうがよほどいいという現実的な回答をしています。
 現在でも紛争の元になる聖地などは仏教とは無縁です。そんなものにこだわるなというのが仏教の中核になる教えですから。
 後の世の人がブッダ的な考えを全て仏教として容認するようになると、様々な方便も仏教として許容されるようになります。
 原始仏教に近い南伝仏教の盛んなミャンマーでは、死者に向かってお経は唱えません。生きている人に対して死者へのこだわりを捨てるように説教します。それではあまりにも生きているものがつらいから、その方便として、仏様が死者を安らかな国へいざなってくれる。良い戒名をつけると救われる。といった考えが発達してきたようです。
 ですから、現在伝わっている仏教が「目覚めた人の教え」そのものであるかどうかは十分吟味する必要があるかもしれません。そして、その教えが現状の自分の置かれている立場に十分あてはまるかどうか、現代社会でより良く生きるためには何を信じ何を信じないかを自分自身を灯火にして考えなければなりません。その考えを客観的に見てみて本当に自分が納得できるかどうかをその人なりに考える必要があります。単にお経を唱えたりするだけでは十分な心の安らぎは得られないような気がします。もちろん、お経を唱える事によって気分が落ち着く人がいるのであれば、それはそれでけっこうなことなのですが・・・。

目覚めた人
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