悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
clear aspect

大人の自我状態

 子供が成長していくに従って、様々な経験が記憶として蓄積されます。このような記憶を冷静に分析したり、将来の計画を練ったりする機能も、個人の成長に伴って発達していきます。 この部分は、個人がある行動を起こすときに、最適な行動であるかを吟味したり、状況に合わせて行動を調整する役割を担います。
 この「大人」の「Adult」略してAの機能は構造分析では親や子供の自我状態のようには別れません。

 大人の自我状態は自分の感情を抑えたて行動したり、様々な計画を立てたりする役割を担っているので、この機能無しでは様々な事態に順応することは困難になります。

Aの役割

 Aは情報を集め、合理的に物事を計画する機能があります。この機能がないと、場面場面に応じた適当な生き方を選択したり計画することができません。技術者や会計士や弁護士のように物事を分析したり、見積もったり、具体化するような役割を担う人に不可欠な機能です。この人たちにAが不足していたら、正確な計画の立案や作業の実施はできません。


Aが高いと感じる人(眸の独断と偏見)
誰がどのようなところが
フォン・ノイマンコンピュータの基礎を作った人。ノイマン型コンピュータは現在使われている全てのコンピュータの基礎となっている。「囚人のゲーム」に関する理論や原子爆弾の製造ににも関わったことで有名。
スクルージーディケンズが書いた「クリスマス・キャロル」に出てくるスクルージー。死神に出会う前の彼は、銭儲けのことしか頭になく人の気持ちを理解しない人間として描かれている。

Aについて一言

 Aだけが高くて有名になった人に出会うことは困難です。なんといってもAだけの高い人は面白くありません。ですが、Aの高い人で世の中に名を残した人がいないわけではありません。私はAの高い人としてフォンノイマンを取り上げようと思います。
 彼は一度見たり聞いたことは生涯忘れることは無い程の記憶力の持ち主でした。百科事典形式の歴史の本を読んで、その内容を全て記憶していたと伝えられています。数学でも世界有数の頭脳の持ち主でした。彼の名前を取ったノイマン型のコンピュータは、現代のコンピュータの原型として今でも現役として使われています。原子爆弾の設計に携わり、彼が計算で導き出した形状の原子爆弾が長崎に落とされました。さらにコンピュータのシミュレーションを使いチェス等のゲームの最適解を求める研究に従事しています。
 これだけのことを一人で行える人を私は知りません。そして普通の感情を持つ人なら、とても大量破壊兵器の開発を行うほどの非情さは持ち合わせてはいないと思います。
 世の中にあまり知られていない彼の業績は、囚人のジレンマというゲーム(交流分析でいうゲームではありません)をコンピュータでシミュレーションを行って解析したことです。
 ここでは簡単に囚人のジレンマを説明します。
 二人のプレーヤーがいます。相手を裏切らなければある程度の成果をもらえます。しかし裏切れば、自分は沢山得をし、相手は損をします。双方が裏切ってしまえば二人とも何の成果ももらえません。相手も自分と同じ状況置かれていますが、相手がどう出てくるかは一緒に仕事をしないとわかりません。
 このような状況で、あなたならどうしますか?
その相手とは長い間同じようなやり取りを何回も繰り返すことになれば、どうするのが一番いいのでしょうか?
 これを考えるのが囚人のジレンマのテーマです。
 I am OK,You are OKの態度をとれば人生を成功に導けるはずです。だから常に相手と協調するという戦略もとれます。しかし、そうなると、相手が悪魔のような人間だと常に裏切られて損ばかりしてしまいます。また、自分が悪魔のように常に裏切り続けてもいいですが、相手が自暴自棄になって裏切り始めたらお互いが共倒れになってしまいます。
いろいろな作戦同士で対戦させて、シミュレーションしてみた結果、自分から裏切るような作戦を取る人は最低の結果になりました。I am OK,You are not OKだけではダメなのです。かといって、常に裏切らないというのも良い結果は得られません。I am not OK,You are OKの態度を取り続けるだけでもダメです。現実は厳しいのです。
 では、どんな作戦を立てた人が多くの利益を得たのでしょうか?
 高得点を取った人は二つのタイプでした。一つ目は、相手が裏切れば次回は必ず裏切り、相手が裏切らなければ次回は必ず裏切らないという「鸚鵡返し」の作戦を取る人です。もう一つは、最初は裏切らずに相手が裏切れば、次の回は必ず裏切る。しかしこちらが裏切ってもその直後は裏切らないという「気のいい奴」という作戦を取った人でした。実質的に世の中を渡っていくためには、ある程度の裏切りをする必要があるようです。
そんなことわざわざコンピュータでシミュレーションしなくても感覚的にわかると思う人もいるかもしれません。でも、その感覚に確証は持てないのも事実です。Aの機能を使えばある程度の指針を明確にすることはできそうですね。

親の自我状態
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