悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
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子供の自我状態と動物の心

個体を維持する行動様式

 子供の自我状態全体を眺めてみると、 動物の個体を維持する行動様式は全てこの子供の自我状態から出ていることがわかります。
 おなかが空けば、現状に留まらず、どこかに移動しないといけません。(RC) 敵が現れれば、集団に紛れて(AC)身を守るか、逃げるか(RC)、戦う(RC)必要があります。 窮地に陥れば、なんとかして(LP)そこから逃げ出す必要もあります。 いまいる場所よりすごしやすい場所があれば、そこに移動して、休養をとったりする ことも個体を維持する上では大切なことです。(FC) 猫は家の中でいちばんいごこちの良い場所で昼寝をしますね。

記憶の場所

 人の脳は同じような記憶でも記憶している場所が違っているようです。 例えば勤務先や自宅に電話をかけていると、指が勝手に電話をかけてくれることがよくあります。 番号を意識しなくても、手の方が勝手に番号をプッシュできるのですが、 改めて「あそこの電話番号は何番ですか」と他の人に聞かれるとすぐには出てきません。 電話をかける指の動作を再現し、その指の動きから電話番号を思い出すなんてことがよくあります。 これは、運動を制御している部分が指の動かす順番を覚えていて、 数値としての電話番号を覚えているわけではないからです。

 子供の自我状態として意識できる心の機能は、大脳の新皮質ではなく、 動物としての機能を司っている旧皮質のなかで制御されているようです。 動物としての脳は単純で原始的です。 鳥は卵から生まれると、一番最初に見た動くものを親として認識し、 それを後から塗り替えることはできません。(このようなことを刷り込みと言います) でも、ねずみぐらいになると、餌の有るところまでの経路を覚えたり、 ボタンを押せば餌がもらえるといったことを経験的に学習できるようになります。 鳥とちがって餌の置き場や経路が変わってもその変化に順応できるようになります。 でも、これを修正するには何回も失敗を繰り返しなければならず、 肉体的な労力や時間がかかります。

 指先が覚えている電話番号が変わっても、新たな電話番号で何回も電話をかけていれば、 新たな電話番号に順応した行動が取れるようになります。 このとき大切なのは失敗を繰り返して「駄目だ」とか「めんどくさい」等と言いながら、 それでもめげずに何回も電話をかけることですね。

感情からの汚染

 ねずみのご先祖様から進化しつづけた人間は、 もっと変化に柔軟に対応できるように知性を持っています。 この知性があるところが大脳の新皮質と呼ばれるところで、AやPはここに収められて いくと考えられると思います。 しかし、自分の命にかかわるような危機的な経験は、 理性やスローガンが蓄えられる新皮質ではなく、 単純で修正が難しい旧皮質の部分、つまり感情の部分に蓄えられます。 また、感情の部分(旧皮質)は恒常性の維持を司る自律神経と深いかかわりがあり、 動悸が激しくなったり、逆に顔が真っ青になったり、冷や汗をかいたり、睡眠障害に等の 身体的な症状としてあらわれてくることがあります。 例えば、自分の血を見ることで嫌な思いをした後は、血を見るのを恐れたり、 手術とか出産とか血を連想する話題を避けるようになります。 ひどいときには貧血をおこして倒れるといった身体症状もあらわれてきます。 そのような状況に近づくことを自分の感情の部分が許しません。 感情から理性が汚染されていることになります。

 この感情の汚染があっても、それが許されるような状況だと問題にはなりません。 ゴキブリの怖い人でも、周囲の人がゴキブリを排除してくれる環境にいる人は、 生活上何も困る事はありません。 しかし、感情の部分がある行動を拒絶することを克服する必要がある場合には、 それなりの経験をして、新たな経験に基づく現状に適応した行動を身につける必要があります。 しかし、自分が怖いと思う状況に自ら身をおくことは普通はできません。 それと似たような状況も避けようとします。 そうなると、嫌な感情を持つような状況で新たな経験を積むことができなくなり、 現状に適応した新たな行動様式を取ることはどんどん難しくなってしまいます。 このように感情からの汚染をとりぞくことは簡単にはいきません。

人にできること

 ですが、人は鳥ではありません。 一度刷り込まれた行動様式を自ら変える能力を持っています。 ねずみだって、自分をよりよい状態に維持するために消えたチーズを探します。 ねこはバター探しに懸命になりすぎず、適度な心の平安を昼寝をすることで保っています。 (詳細は「チーズはどこへ消えた」と「バターはどこへ溶けた」を読んで下さい。 CPが低くNPが高い私は「バターはどこへ溶けた」のほうが好きです。) ねずみやねこより高度に発達した人が自分の能力を使ってより良い行動様式を獲得できない 理由はどこにもありません。 感情からの汚染があるときは、周囲の人の力を借りてでも、克服したい感情を起こす状況 に近づいてみてください。そうすることが鳥でない人間がやれることだと思います。

子供の自我状態2
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