その番組をみた後で、嫁さんの親戚にカウンセリングをしている人がいることを思い出して、思いきって相談してみる事にしました。ちょうど1996年の正月休みでした。
その親戚は広島におられて、広島まで出向いていかねばなりません。雨の降る中どういうわけか嫁さんの薦める「じゃこてん」をお土産にフェリーに乗って広島まで出かけていきました。
私もセロトニン不足になってしまって頭が狂ってしまっているのじゃないかととても不安でした。
不安な心を抱えて、フェリーを降りると、カウンセラーの方は待っていてくれました。そして、とあるホテルのロビーで一時間ぐらいカウンセリングを受けました。そのとき、どのように話をしたかはほとんど覚えていません。
でも、私の仕事や家庭や趣味のことを聞いてくれて、「あなたは大変な仕事をし、結婚もし、転職もし、子供にもめぐまれ、家を建て、多彩な趣味をもっていて、どれも一生懸命に生きてきているのですね」と私のことを支持してくれたことはよく覚えています。そのうえで、「一生懸命やればそれなりに成果が上がっていくけれど、どれもやりっぱなしで、なんかバランスがとれていないような気がするのだけれど、どう?何にどれだけ力を注げばいいかの折り合いがついていないようにおもうけど・・・」とも言ってくれました。
その人は、「あなたは遺伝的なうつ病ではない。」と断言してくれました。その言葉に安心はしたのですが、やはり、「でも、あなたは抑うつ状態です」とその人にいわれました。そして、仕事や家庭や趣味にうまく折り合いをつけることと、
「怒られたら笑いなさい」
と教えてくれました。
その当時、私には「怒られているのに笑う事なんてできない。」と思っていたので、「そんなことはできそうもない。」と答える事しかできませんでした。そうすると、「もし苦しくてどうしようもなくなったら、精神科か心療内科に行って薬をもらいなさい」と助言してくれました。
帰る間際に、カウンセラーの人が娘さんへといってケーキを下さいました。私の持っていったみすぼらしいお土産に比べて相手がくれたお土産がすばらしく思えましたがお断りするのも失礼かと思って受け取りました。
帰りの船の中で、「ではなぜ、私は抑うつ状態なのか」と自問してみましたが、でも、それに答えは出ませんでした。