悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
clear aspect

逆転

 この後、いままで暗い方向に向いていた意識の流れが逆転しはじめました。

 病気を治すための方法がなんとなくあるとことがわかって安心できたのかもしれません。抗うつ剤が効いてきたのかもしれません。とにかく、テレビを見ていてもふとしたことで涙を流している自分に気付いたりしました。

 そして、私は世間ではやっている癒し系のあらゆることを試しました。お風呂に入って、自分の体を丁寧に洗うことが一番最初にしたことだったと思います。昔、実家で飼っていた猫を思い出しました。猫だって自分のために毛づくろいをします。ただし、猫は自分のの頭の上は掻けません。頭の掻ける私は猫以上かもしれませんが、自分の体を丁寧にさわることは全然していないのなら、私は猫以下だなあと思いました。アーユルヴェーダが良さそうだと思うとごま油とラベンダの香油を買ってきて試しました。服はオレンジ色がいいと「瞬間リラックス」に書いてあったし、インドのお坊さんの衣装がオレンジ色なので、ふだん地味な服(キャラクタものは大嫌いでした)しか着ていなかったのですが、オレンジ色のスヌーピーの柄のはいったトレーナを買ったりしました。(今でも大事にしています。)

 新しいスニーカーを買って朝から軽くランニングしたり、ネットサーフィンはしばらく控えるようにしたり、とにかく、体を労わることを始めました。私は、手探りで自分の体のささやきを聞くことを始めたようでした。

 そして、私は子供の頃から馴染んでいた松山の街をもう一度歩き始めたのです。

 実家から近所にあったお城山に嫁さんと一緒に行ったりしました。初恋の人と歩いた道をもう一度歩いてみたり。昔お世話になったアルバイト先の自転車屋さんを尋ねて、今の状況を聞いてもらったり、昔話をしたり。

 そして、自分がリラックスできるところを探しました。家の中では家族に遠慮があるし、近所の公園では人目があります。自然があるところで人がいても不自然でないところは、コミュニティセンタのプールや運動施設のある建物の前にある公園でした。一人で座っていてもプールで泳いだ疲れを取っている程度にしか見えないし、街中なのに静かで木立があります。落ち着いてぼーとしていれれるところがみつかると気持ちもおちついていくようでした。

感情

 当面の課題は、自分の失っていた明るい気持ちをどれほど取り戻せるかでした。とはいっても、いままで無視しつづけた感情なんて、感じましょうといって簡単に感じられるものではありません。でも、私にはとても貴重な見本がいたのです。感情だけで生きている「ぽよぽよザウルス」が2匹も。当時4歳の娘と2歳の息子が私にはいました。とりあえず、子供に戻って彼らと一緒に遊ぶ事からはじめました。

 公園に連れて行き、私は彼らと一生懸命遊びました。遊びはとても簡単です。

かけっこ
一緒に走ったら絶対私が勝つのでハンディをつけて競争します。お父さんが負けると高い高いをしてあげるとかいろいろバリエーションをつけて遊びました。単純に走るだけそれだけでも子供は笑うんです。一緒に走るだけで幸せになれる。
砂遊び
技術を駆使してお山を作ってトンネルを掘ります。トンネルが開通するだけで大喜び。

 などなど、公園の遊具を使っていろいろ遊びました。

 子供たちが私の事を無条件に受け入れてくれた事。これがなによりうれしいことでした。「子供がかわいいとは思えない」と淡々と言った自分が、全く逆の気持ちになれていることがとても嬉しいことでした。

 後になって、このことを「産業カウンセラー養成講座」で話すと、カウンセラーさんが「子供はエネルギーをくれるんです。お子さんがいらして本当によかったですね」と言ってくれました。

 一方、大人はというと、一応嫁さんが受け入れてくれてはいたのですが、気分が良くなった後、はじめてHをした後で「やっとHできるようになったの」とセックスすら私の病気の回復状態を見るバロメータとしか見ないようでかなり寂しい思いをしました。

 (本当は肌のぬくもりとか、受け入れてもらえる喜びとかを感じたかったのですが・・・。)

 そんなことがあったので、今では嫁さんと別れることがあっても、子供とだけは絶対別れたくないと密かに思っています。

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