悩みと共に(抑うつ 神経症 気分変調 うつ病 摂食障害)

すんだひとみ
澄んだ眸
clear aspect

プログラム修正

 私の場合は脳と言う機械が壊れているわけではないことははっきりしていました。脳に直接働きかけている薬はちょっと使えないこともなんとなくわかりました。

 残されたものは、脳の中にある変更可能なプログラムだけです。私のように沢山仕事をしている人みんなが心の病気になるわけではありません。私が病気になったのならそれなりの何かがあるはずなのです。私の脳のなかにある私独自の何かが不都合を起こしている。もしそうなら、それを治していくしかないと思いました。

 そして、システムエンジニアとしての私は「私の中に不都合なプログラムがあるのならそれを書き換えよう」と思いました。

 でも、その誤ったプログラムの中にいる私が、私自身の問題に気付くのは、かなりしんどいことだとも思いました。自分の作りこんだバグは自分がプログラムを眺めているだけでは見つけることはできません。30分自分で眺めてわからないバグを他人の目でみてもらうと2分ぐらいでみつかります。ですから自分の問題も試験をしたり、他人に見てもらうほうが気付くことが多いと思っていました。

 ただ、そのときの自分には何が間違っているかすらわかりませんでした。自分が頼りにならないときに頼りになるのは他人しかいません。ですから、カウンセラーと沢山の人の支持を得た人の著作に頼る必要がありました。

教科書探し

 そんなわけで、今度は、リラックスではなくて、どうすればこの病気を改善できるかを知りたくて本屋にいきました。本屋にある心理療法の本を片っ端からめくって、自分に合いそうな本を探しました。心理学の本もありましたが、僅か2ヶ月あまりで心理学の勉強を1からやって、自分の病気を治すなんてことは、神様でもない私には不可能です。

 それで、どのようにうつ病や神経症を治すのかに関する本に的を絞って沢山眺めました。森田療法や内観やさまざまな心理療法が紹介されていますが、どれもあまりピンときません。うつの状態では読める本の量は限られてきます。「〜するための何十という方法」なんて本もみかけましたが、そんなに沢山の方法を実現したり、覚えるなんてことは私にはできそうもありませんでした。

 そんななかで、「いやな気分よさようなら」 自分で学ぶ「抑うつ」克服法 新しい認知療法の紹介 デビッド・D・バーンズ著 星和書店 に出会いました。

 図や表が多い本でしたし、具体的な例が対話の形で多く乗っていました。理系の私にはぴったりの本だと思ったのがその本を選んだ理由だったと思います。

 その本を買って帰ると、一日で読みきってしまったことを覚えています。今読み返すとさすがに一日では読めそうにはないですが・・・。そして、その週のカウンセリングにはこの本を持って先生のところに行きました。

 「この本を勉強して治したいのですが」と私が言うと、パラパラと本をめくりながら、先生は

 「一日で読んだのですか?集中してバッとやってしまわれるところがあるのでしょうか?」

 と聞きました。そして、しばらく本をパラパラ見てから、

  「悪い本ではなさそうなので、気が向いたらゆっくりやってみて下さい」と言いました。

 そこからうつ特有の考え方とそれに対応する具体的な方法を学ぶことにしました。

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