丁度勉強をはじめようとしたころ、私の祖母(母親の母親)が突然亡くなってしまいました。もともと高血圧気味の人でほとんど寝たきりの生活をしていたのですが、季節の変わり目だったので突然還らぬ人となってしまいました。
当然、お葬式には出ないわけにはいきません。そこで課題になったのは、どのように親戚と向かい合うかでした。まさか、うつで休んでいるなんてことは言えないし、どうしたものかと思っていました。ですが、何年かぶりに会う人たちばかりが集まるので、お葬式には出ることにしました。
母親の実家は田舎でしたので、葬儀は母親の実家で行われました。そして、どういうわけか、気分が落ち込んでしまうことなく、初めて見るような親戚ともうまく話すことができました。「あんたがそんなに悟っているとは思わなかった」と遠縁の親戚言われたことは、自分でも意外でした。父親が「おまえのどのへんがうつ病なんぞ?」と聞いたりしました。
私は祖母から親戚と話をするという、良いプレゼントを最後にもらったような気分になりました。
人と会うのが縁だとすると、病院の待合室にいると大学時代の後輩に偶然あったこともありました。彼女は子供を皮膚科に連れてきていたようですが、私がどうしてここに来ているか意外だったようで、「先輩はどうしてここにいるのですか?」と聞きました。
隠しても仕方がないので、抑うつ神経症になって治療中であることを説明すると、「先輩が繊細な人だったなんて意外」といって微笑んでくれました。
「他人はそんなに私のことを悪くは思っていない」ということがなんとなくわかったのが大きな救いになりました。